2007年度の決算を発表する執行役副社長の佐藤行弘氏
2007年度の決算を発表する執行役副社長の佐藤行弘氏
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 三菱電機は2007年度(2007年4月~2008年3月)の連結決算を発表した。売上高は前年比5%増の4兆498億円で4年連続の増収。営業利益は過去最高となる2672億円で,2年連続の増益となった。営業利益率は6.6%となり,同社が掲げる5%以上という経営目標も2年連続で達成している。同社執行役副社長の佐藤行弘氏は「久々に売上高が4兆円を突破した。中間決算の発表時に上方修正した予想をさらに上回る内容で,おおむね順調だった」と振り返った。

 事業セグメント別でも全て黒字となっており,撤退した携帯電話端末事業を抱えていた「情報通信システム」以外は全て増収増益。中でも「重電システム」「産業メカトロニクス」「家庭電気」は売上高が初めて1兆円を超えるなど好調で,「携帯電話事業の不振を他事業がカバーした」(佐藤氏)格好となった。重電システムは特に海外向けの系統変電事業が好調で,中近東での商談が増えたほか中国や米国での案件も増加し,売上高は前年比11%増の1兆579億円となった。産業メカトロニクスの売上高は,前年比6%増の1兆175億円。同セグメントは従来FAシステム事業が牽引していたが,2007年度は自動車機器事業の売り上げがFAシステム事業と同程度にまで伸張した。「2008年度も自動車機器事業の伸びが期待できる」(同氏)としている。このほか,欧州向けの空調機器が好調だった家庭電気の売上高は,前年比8%増の1兆2億円となった。「欧州ではCO2削減や省エネルギーを意識した空調機器の引き合いが強い」(同氏)。欧州向けにヒートポンプ技術を利用した空調機器を開発し,今後本格的に販売する考えだ。

 好調だった2007年度の決算だが,2008年度の業績見通しについては慎重な姿勢を見せた。売上高と営業利益は,それぞれ4兆500億円と2680億円で2007年度並み。経営環境の悪化が予想されるとしており,国内景気の減速や円高の進展,サブプライムローン問題の長期化などをその要因として挙げた。