米International Data Corp.(IDC)は,2008年第1四半期の携帯電話機の世界市場調査の結果を発表した(発表資料)。出荷台数は対前年同期比14.3%増の2億9160万台。IDC社によれば,第1四半期の出荷数は直前期と比べて予想通り減少したが,景気に対する懸念が2008年の残りの期間にさらに悪影響を与える可能性もあるという。

 IDCは,買い替え需要が多い成熟市場の成長は鈍化傾向で,競争が激化していると説明する。一方,新興市場は大幅な成長を維持する見通しで,低価格端末の需要が世界市場を牽引すると予測する。

2008年第1四半期のメーカー別出荷台数シェア
2008年第1四半期のメーカー別出荷台数シェア (画像のクリックで拡大)

 メーカー別出荷台数を見ると,首位はフィンランドNokia Corp.。対前年同期比26.8%増の1億1550万台を出荷した。シェアは39.6%で,2~4位のメーカー3社の合計シェアを上回る。出荷数を高水準で維持しているのは,新興市場において入門機が伸びていることによる。Nokia社は今後,新興市場での買い替え需要を取り込む準備もできているという。

 2位は,直前期に引き続き韓国Samsung Electronics Co., Ltd.。出荷台数は対前年同期比33.0%増の4630万台で,シェアは15.9%。新興市場でシェアを拡大したが,欧州と北米での出荷は鈍化したという。同社は,2008年通期の出荷台数が2億台に達すると見ている。

 3位は不振が続く米Motorola, Inc.。出荷台数は同39.7%減の2740万台まで落ち込んだ。この出荷台数は,2004年後半以来なかった水準という。シェアは9.4%で,直前期から4.5ポイント減少した。他社が製品を充実させた音楽機能やタッチ・パネル,メッセージ機能付き携帯電話機において,品揃えを拡充しなかったことが不調につながったと分析する。同社は,2008年3月に,携帯端末事業部を通信機器事業部から分離・独立させる手続きを開始すると発表している(Tech-On!の関連記事)。

 4位には英Sony Ericsson Mobile Communications ABを抜いて,韓国LG Electronics,Incが浮上。LG Electronics社は,対前年同期比54.4%増の2440万台を出荷した。シェアは8.4%。「Viewty」「Voyager」「Venus」などのフラッグシップ機が好調だった。5位のSony Ericsson社の出荷台数は同2.3%増の2230万台。シェアは7.6%だった。