松下電器産業は,2007年度(2007年4月~2008年3月)の連結決算を発表した(ニュース・リリース)。売上高は9兆689億円と前年をわずかに下回ったが,日本ビクターが連結子会社から持分法適用会社になった影響などを除くと,実質的には前年比4%増に相当するという。欧州や中国ほかアジア地域を中心に売り上げを伸ばした。
営業利益は前年比13%増の5195億円,売上高営業利益率は同0.7ポイント増の5.7%である。当期純利益は同30%増の2819億円で,過去最高を更新した。
2007年度は,売上高10兆円,株主資本利益率(ROE)10%を目指す3カ年中期経営計画「GP3」の初年度に当たる。同社は初年度でROEを6.3%にする目標を掲げていたのに対し,実際のROEは7.4%と目標を上回った。「スタートダッシュの年として,十分な成果が得られた」(同社 代表取締役社長の大坪文雄氏)。
同社は2008年度の目標として,前年比1%増(日本ビクターや為替差の影響を除くと7%増)になる9兆2000億円に引き上げる計画を示した。売上高の約半分を占める海外事業で売上高2桁増を目指す。営業利益は5600億円,当期純利益は3100億円とし,ROE8.0%を達成する計画である。
鉄鋼など素材の価格上昇は「今回の事業計画に織り込み済み」という。同社が「イタコナ」と呼ぶグループ横展開の原価低減活動(板金やプリント基板などの「イタ」と,樹脂などの「コナ」の低減を指す)の推進で,コストの上昇を抑えたい考え。「素材の価格上昇に備え,どのように部材を減らすかを考えるのがイタコナの神髄。我々の業界の競争は激しく,価格への転嫁はできない。(素材の急騰に伴う)価額上昇を上回るコストダウンを行う」(大坪氏)。
読売新聞が報じた三洋電機への資本提携については 「検討している事実はまったくない」(大坪氏)と否定した。
薄型テレビ,2008年は販売台数1.5倍を目指す
松下電器産業の事業の柱である薄型テレビの販売数は,PDPテレビが425万台,液晶テレビが325万台で計750万台だった。この結果,2007年当初に掲げていた「PDPテレビ500万台,液晶テレビ400万台の計900万台」という販売目標は下回る結果となった。同社は目標未達の要因として,液晶テレビについてはパネルの調達難,PDPについては「テレビの大型化が予想以上に進んだこと」(大坪氏)を挙げた。薄型テレビ事業の売上高については,テレビの大型化に伴う単価の上昇により目標値を達成できたという。
同社は2008年度における販売台数の目標値を,PDPで600万台,液晶で500万台に設定,前年比46%増となる計1100万台の販売を目指す。このうち37型以上の大型品は700万台となる。液晶パネルの調達見通しについて,大坪氏は「昨年より多少は緩和されるが,引き続き厳しい状況」とコメントした。