図1 「HDR-TG1」を手にするソニー デジタルイメージング事業本部 副本部長の今村昌志氏
図1 「HDR-TG1」を手にするソニー デジタルイメージング事業本部 副本部長の今村昌志氏
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図2 光学系を覆う部分と液晶パネルの背面にチタンを採用した
図2 光学系を覆う部分と液晶パネルの背面にチタンを採用した
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図3 光学系,基板を含む様々な個所に小型化の工夫あり
図3 光学系,基板を含む様々な個所に小型化の工夫あり
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図4 基板を3枚に分割して,光学系と2次電池の間に配置した
図4 基板を3枚に分割して,光学系と2次電池の間に配置した
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 ソニーは,「ポケットに入るほど小型化・軽量化した」(同社)というHDTVビデオ・カメラ「HDR-TG1」を発売する(ニュース・リリース)。1920×1080iの映像を,H.264/MPEG-4 AVC方式で記録する。

 撮影時の重さは約300g,外形寸法は32mm×119mm×63mmで,1080i映像を撮影できる民生用ビデオ・カメラとして「体積,重さとも業界最小」(ソニー)という。記録方式はAVCHD,媒体として8Gバイトのメモリースティックを同梱する。店頭予想価格は13万円で,2008年4月20日から販売する。

チタン採用と35mmの横幅で差異化

 HDR-TG1が目指すのは「個人が気軽に持ち歩けるビデオ・カメラ」。三洋電機の「Xacti」などに代表される,いわゆる「縦型ビデオ・カメラ」と軌を一にするものである。ソニーは,従来の縦型ビデオ・カメラと差異化するため,二つの工夫を加えた。

 一つは,筐体の一部にチタンを採用するなどして「友人に見せて自慢できるような質感を持たせた」(ソニー デジタルイメージング事業本部 副本部長の今村昌志氏)ことである。チタンを採用したのは,筐体のうち光学系を覆う部分,および液晶パネルの背面である。「チタンは加工すると極めて硬くなるので,(アルミなどの)柔らかい金属より高級感を演出できる。加えて,熱伝導率が比較的低いので,触っても熱を感じにくい利点がある」(同社 IT&モバイルソリューションズネットワークカンパニー パーソナルビデオカンパニー Camcorder事業部 設計2部 1グループの小佐野圭司氏)。(チタン製筐体の関連記事

 グリップ部については,液晶パネルと隣り合う面のみマグネシウム合金,その他の面は茶色に塗装した樹脂を採用した。樹脂面を茶色にしたのは「見た目の質感を高級な革製品に近づけたかったため」(小佐野氏)という。金属部,樹脂部を含めた筐体全体をハード・コートで覆い,傷への耐性を高めた。

 もう一つの工夫は,筐体の幅を32mmに絞ったことである。このため,主要LSIやCMOSセンサは従来機(HDR-SR11/12)と同等のものを採用しつつ,光学系や基板に工夫を加えた。

 光学系については,非球面レンズを多用することで,レンズを小型化しつつ解像力の低下を抑えた。この結果,アクチュエータを含めた光学系の体積を「従来機(HDR-SR11/12)から75%減」(小佐野氏)と大幅に小型化した。

 メイン基板は3枚に分割し,光学系と2次電池の間に配置した。基板を1枚にする場合と比べ,2次電池と基板が横に重ならずに済む分,筐体の横幅を薄くできる。

 3枚の基板を横に並べつつ,横幅を35mm未満に収めるため,ソニーは基板同士を繋げるフレキシブル基板向けコネクタを新たに開発したという。具体的には,コネクタの実装に用いる補強板に新規材料を採用することで,コネクタの厚さを「LSIの厚みと同じ程度に抑えた」(小佐野氏)。3枚の基板の層はそれぞれ6層,8層,10層である。

 放熱対策として,ホット・スポットを作らないよう,筐体全体にまんべんなく熱を散らしたほか,空気の対流で熱が自然に筐体上部に逃れるようにした。排気ファンは載せていない。

 顔検出機能,約1秒で高速起動する機能,2つのジャイロ・センサによる電子式手振れ補正機能を備える。CMOSセンサは1/5型の「クリアビッドCMOSセンサー」で,総画素数は236万画素。5倍の光学ズームを備える。出力端子はHDMIミニコネクタ,AV端子を持つ。付属の2次電池による実撮影時間は約45分である。 

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