富士キメラ総研は,エレクトロニクス製品・部品の世界市場調査の結果を発表した(発表資料)。

 注目される市場の一つはテレビ市場。2007年のテレビの世界生産台数は対前年比3.5%増の2億1600万台だった。2011年の生産台数は対2007年比11.1%増の2億3990万台と見込む。2007年の生産台数の内訳はCRTテレビが対前年比18.1%減の1億2600万台,液晶テレビが同75.9%増の7900万台,PDPテレビが同11.1%増の1100万台だった。

 CRTテレビの世界的な需要は,液晶テレビやPDPテレビといった薄型テレビが日本や北米,欧州などを中心に普及したことによって急速に減少しているという。今後も薄型テレビへの買い替えが進むため,CRTテレビの生産量は年平均10~20%の割合で縮小していくとみる。富士キメラ総研が予測する2011年のCRTテレビの生産台数は,対2007年比46.0%減の6800万台。既に日本国内でCRTテレビは生産されていない。

 2007年の液晶テレビの需要は,年間で20~30%の価格低減と,大手メーカーによる欧米,中国市場での販促活動の強化によって喚起された。また,ブランド力やコスト競争力がメーカーのシェアを左右する要因となっているという。液晶テレビの需要が最も多いのは欧州で,2007年には世界全体の37.0%を占めた。同市場では,韓国Samsung Electronics Co., Ltd.やソニー,オランダRoyal Philips Electronics社のシェアが高い。地元メーカーも市場に参入しているが,2007年は大手メーカーがシェアを伸ばした。北米市場では,米Vizio Inc.,Samsung Electronics社,ソニー,シャープが上位メーカー4社を占め,日本ではシャープのシェアが高い。今後は中国やインドを含めたアジアの需要拡大が有望という。2011年の液晶テレビの生産台数は対2007年比89.9%増の1億5000万台と予測する。

 PDPテレビの生産台数全体に対するいわゆる「フルHD」対応品の割合は,2007年に1割に達し,50型以上の割合も3割を上回った。ただし,液晶テレビとの競合による価格下落によって,いずれのメーカーも収益が悪化しており,生産を中止するメーカーも相次いでいる。PDPテレビの需要が最も大きい地域は北米で,2007年には全体の34.8%を占めた。次いで大きいのは31.1%を占めた欧州市場。今後は日本,韓国,オーストラリアに加え,ロシア,インド,ブラジルでの需要拡大が期待できると見る。2011年の生産台数は,対2007年比99.1%増の2190万台と予測する。

パソコンの需要はノート・パソコンへ移行

 パソコン市場では,需要がデスクトップ機からノート・パソコンへ移行している。2007年のパソコンの生産台数は,対前年比15.0%増の2億7180万台。このうち,デスクトップ機は同8.9%増の1億7100万台で,ノート・パソコンは同27.1%増の1億80万台だった。ノート・パソコンが好調な要因は,デスクトップ機と性能の差が少なく,デスクトップ機以下の価格の機種が増えてきたことという。富士キメラ総研によれば,2007年に米国と台湾で発売された台湾ASUSTeK Computer Inc.の「EeePC」は爆発的に売れたという。また,欧州・中東・アフリカ地域やインドでも,ノート・パソコンの需要が増加しているとする。パソコン市場全体では,100米ドル台のデスクトップ機に加え,低価格のノート・パソコンの販売を強化するメーカーも存在することから,今後さらに低価格のパソコンの生産が拡大すると見る。2011年の生産台数はデスクトップ機が対2007年比19.3%増の2億400万台,ノート・パソコンが同82.4%増の1億8390万台と予測する。

 このほか,富士キメラ総研はカーナビおよびPNDの生産台数も予測している。2007年のカーナビの世界生産台数は,対前年比13.2%増の903万台,PNDの生産台数は同91.1%増の2995万台。2011年にはそれぞれ,対2007年比28.8%増の1163万台,同66.3%増の4980万台に達すると見る。