Sprint Nextel社のBen Vos氏
Sprint Nextel社のBen Vos氏
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Sprint Nextel社が狙っている今後のビジネス・モデル
Sprint Nextel社が狙っている今後のビジネス・モデル
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Intel社の顧客が導入しているMIDの無線インターフェース技術
Intel社の顧客が導入しているMIDの無線インターフェース技術
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 「我々は携帯電話事業者のビジネス・モデルを大きく転換しようとしている。従来のモデルでは,1台の端末イコール1人の顧客に限定されていた。今後は,無線ネットワークをオープンにして,多数の端末にサービスを組み込んでいく」。

 米Sprint Nextel Corp.,Vice President,Technology DevelopmentのBen Vos氏は,2008年3月18日に米サンノゼ市で開催された通信関連イベント「Spring 2008 VON.x」において,同社が進めているモバイルWiMAXサービスの狙いについて説明した。同サービスは「Xohm」という名称で,2008年4月から米国の一部地域で商用サービスが始まる予定である(同サービスのWebサイト)。

 Vos氏は,現状の第3世代(3G)携帯電話機は単価が高く,市場に販売する際には携帯電話事業者が販売奨励金など,端末の購入を助成する必要性がある点を問題視しているという。この助成金を回収するために,携帯電話事業者は顧客を年間契約させるといった手法を採らざるを得ない。「こうしたビジネス・モデルには,制限が多い」(同氏)。Sprint Nextel社はこのビジネス・モデルから脱却するため,高価な端末でなくともSprint Nextel社のサービスが受けられるような状態を作り出したいという。端末を購入するための助成金を不要にするようなビジネス・モデルを目指している。例えば,携帯電話機以外の様々な機器に,Sprint Nextel社のサービスを受けられる無線チップセットがあらかじめ組み込まれているというイメージである。「こうした新しいビジネス・モデルには,低価格の無線サービスが不可欠となる。これが,我々がWiMAXを選んだ理由の一つである」(Vos氏)。

 Sprint Nextel社は,Xohmのサービスに向け,多数のアプリケーション・ソフトウエアの開発を推進する。このため同社は,Web 2.0の発想を参考にするという。それは,同社のインフラを支える機能のAPI(application programming interface)を,アプリケーション開発者に公開する。「携帯電話事業者なら,アプリケーション・ソフトウエア開発に役に立つ機能を提供できる。例えば,プレゼンスや位置の情報を提供できる」(Vos氏)。

「MID端末のWiMAX利用率は37%」

 Sprint Nextel社のXohmサービスを利用できる端末が,今後増えていくという指摘もあった。同イベントで講演した米Intel Corp.,Senior Vice President & General Manager, Ultra Mobility GroupのAnand Chandrasekher氏は,「Mobile Internet Devices(MID)」製品の内,37%がWiMAX機能を搭載しているという。「こうしたMID製品は2008年第2四半期から出荷を開始する」(同氏)。