スクウェア・エニックスは2008年3月13日,韓国の芸能プロダクションであるファントム・エンタテインメント・グループなどを相手取り,韓国のソウル中央地方法院に提起していた著作権侵害訴訟に勝訴した(発表資料)。

 ファントムは,同社所属歌手「IVY」による楽曲「誘惑のソナタ」の広告宣伝用ミュージック・ビデオの中で,スクウェア・エニックスのCG映像作品「ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン」の一場面を無断で改変・実写化したとする。ファントムは2007年3月上旬から,同ビデオをインターネットを通じて有償で公衆送信した。

 スクウェア・エニックスは2007年6月22日に,同ビデオを製作・指揮した監督ホン・ジョンホ氏と,同ビデオを商用目的で利用したファントムを被告として,著作権侵害行為等を理由としてソウル中央地方法院に民事訴訟を提起していた。ソウル中央地方法院はスクウェア・エニックスの主張を認め,ファントムとホン・ジョンホ氏に総額3億ウォンの損害賠償の支払いを命じた。

 これに先立ち,スクウェア・エニックスは2007年3月20日付で,ホン・ジョンホ氏とファントムをソウル中央地方検察庁に対して刑事告訴。ソウル中央地方検察庁は同年9月3日,ホン・ジョンホ氏とファントムを起訴した。同年12月には有罪判決が出ている。また,2007年4月6日付で,ソウル中央地方法院において,ファントムに対して同ビデオの公開と販売を禁止する仮処分の決定が下っている。

 スクウェア・エニックスの法務・知的財産部長,長谷川泰彦氏は,判決について
「今回判示された損害賠償額は,韓国での単独作品の著作権侵害事件における損害賠償額としては過去最高であるとのことであり,今回の著作権侵害において当社が被った損害の大きさが認められたものと言えます」
とコメントした。スクウェア・エニックスは知的財産権を重要な経営資源の一つと位置付けており,今後も知的財産権の侵害に対して毅然とした態度で臨んでいくとしている。

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