富士経済は2008年3月17日,価格の高騰と市場の拡大が予想されるレアメタル・貴金属33鉱種の市場規模や今後の動向を調査した結果を発表した。統計データのないルビジウム,セシウム,ハフニウムの3鉱種を除き,レアメタル・貴金属30鉱種の2006年の市場規模は計17兆6018万円で,そのうち8兆2448億円分はリサイクルによってまかなわれた。世界生産量の合計は5202万t。

 調査結果は,同社発行の報告書「2008 レアメタル・貴金属関連市場の現状と将来展望」にまとめられている。同報告書では,モリブデンやコバルトなどリサイクルの必要性の高いレアメタル17鉱種を「注目レアメタル」と位置づけ,それらの「用途別」「最終製品別」の市場規模や動向などを掲載している。

 例えば,フラットパネル・ディスプレイ(FPD)用透明電極材に使用されたインジウムの2006年の市場規模は435億円で,2010年には781億円に拡大すると見られる。インジウムの同年の世界生産量は480t超で,生産工程でのリサイクル分を含むと596tに達した。2010年の生産量予想は1128t。

 また,リチウムイオン2次電池正極材に使用されたコバルトの2006年市場規模は680億円で,2010年は1180億円になる見込み。世界生産量は2006年が7650t,2010年予想が8190t。

 調査は市場に参入している企業や業界団体へのヒアリングを主体にまとめられた。実施期間は2007年10月~2008年2月。報告書の価格は9万7000円。