RS Componentsの持ち株会社である英Electrocomponents社Group Chief ExecutiveのIan Mason氏
RS Componentsの持ち株会社である英Electrocomponents社Group Chief ExecutiveのIan Mason氏
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英RS Components社の部品発注用Webサイト。検索エンジンに米Endeca Technologies社の技術を採用し,検索性を高めた。
英RS Components社の部品発注用Webサイト。検索エンジンに米Endeca Technologies社の技術を採用し,検索性を高めた。
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 「今後2~3年でWebサイトからの発注を全体の50%程度まで引き上げたい」---電子部品や半導体を通信販売する英Electrocomponents社Group Chief ExecutiveのIan Mason氏は,同社グループの部品購買用Webサイトを強化し,インターネットによる通信販売に力を入れていく方針を明らかにした。既に欧州向けのWebサイトは2008年3月に刷新しており,同年4月には日本を含むアジア・太平洋(AP)地域でも同じ仕組みを取り入れたサイトを立ち上げる。

 新しいWebサイトでは,部品を探すための検索エンジンに米Endeca Technologies社の技術を採用し,検索条件の幅を広げて電流や電圧,抵抗値といった属性情報から部品を探せるようにした。「少しでも早く適切な部品を見つけたいというエンジニアの要望に応えた。顧客によるテスト結果も好評だった」(Mason氏)という。現在はWebサイト経由の売上は全体の30%程度だが,これを半数以上に高めたいとしている。「Webサイトでの発注は売り上げ単価も高く,販売コストも削減できる。印刷コストがかからないので,より多くの技術情報が欲しいとのニーズにも対応しやすい。今後は積極的に利用を促したい」(同氏)。

 日本のユーザーはもともと電話などよりインターネット経由での発注が多く,現在でもWebサイトからの受注高が全体の63%を占める。同社は,日本での事業開始(1998年)とビジネスでのインターネットの普及時期が重なったこと,ユーザーのほとんどがインターネットを使い慣れている研究部門や製品開発部門のエンジニアであることが要因だと見ている。検索性の向上でさらにWebサイトの利用率を引き上げる考えだ。

日本市場が重要な役割果たす

 同社の地域別売り上げ構成比は,英国が40%,その他欧州が30%,北米が20%,日本を含むAP地域が10%となっており,日本の売上高はAP地域のうち1/4を占めている。現在はAP地域,特に中国での売り上げの伸びが大きく「日本と中国に注目している」(Mason氏)という。大きな市場が見込める中国と,電子機器メーカーがひしめく日本が今後の事業展開で大きな役割を果たすと見ているからだ。日本や中国でセールス・エンジニアやサポート要員などの陣容の拡充を図っている最中だという。

 加えて同氏は,今後少量のバッチ生産にも対応することを明らかにした。量産試作など数百個規模の受注に応じる体制を整える。欧州では4月から対応を始め,将来は日本でも展開するという。ただし,当面の日本での課題は,現在の主要顧客である研究開発部門の潜在顧客をさらに掘り起こすことにある。グローバルには研究開発向けとメンテナンス向けの部品販売が事業の2本柱だが,「日本ではほとんどが研究開発向け。現在の売上高は40億円強だが,潜在的には600億円の市場規模があると見ている」(日本法人であるアールエスコンポーネンツ代表取締役社長の浜本宏氏)。フィールド・エンジニアが潜在顧客の企業に出向くなどして企業の信頼性を高めて,顧客の開拓を図りたいとしている。