業績の回復が目立つ国内電機メーカー大手9社が,人員採用計画においても積極姿勢を見せている。2009年4月入社の新卒採用に2008年4月~2009年3月入社の経験者採用を加えた人数で,7社までが前年比増を計画,あとの2社も前年並みを維持するという。9社合計では前年度より16%程度の増加になる見込み。

 最も大幅な採用増を計画しているのは東芝である(発表資料)。半導体や電力システムといった分野での開発力強化に向けて,単独で前年の1.5倍に相当する2000人を採用する計画。国内連結では前年より1500人多い4900人の採用を予定している。

 三洋電機,シャープ,日立製作所,松下電器産業も2ケタ増を計画している。三洋電機は新卒の技術系で3割増の250人を採用するとした。太陽電池や2次電池といった得意分野を強化する狙いという。シャープは新卒採用における技術系の割合を前年の57%から62%へ拡大した(発表資料)。液晶テレビや太陽電池のほか,ユビキタス・環境・健康関連事業の強化を図る。

 特徴的な採用計画を打ち出したのは,三菱電機(発表資料)。同社は新卒採用のうち技能系を前年の1.5倍の規模で採用する計画。「技能系とは現場で活躍する高卒者のこと。当社では,いわゆる2007年問題(団塊の世代が退職することによる人材不足や技能継承の困難)がこれから起こる見込み。これを解消するため,ものづくり力の強化に努めたい」(三菱電機 広報)。

 ソニーは,経験者採用を50人増やし,全体で900人とする。近年では一貫して採用課題としているソフトウエア技術者の確保に加え,品質保証や資材調達の分野での積極採用を掲げた。