電子情報技術産業協会(JEITA)の情報端末企画専門委員会は2008年3月6日,情報端末関連機器(ディスプレイ,プリンター,固定磁気ディスク装置(HDD),光ディスク装置など)に関する市場規模の2007年実績と2010年までの予測を公開した。内容は「情報端末装置に関する市場調査報告書」という小冊子にまとめている。これによれば,2010年時点で現在より大きな伸びが期待できるのは,ページ・プリンター複合機,2.5型HDD,記録型DVD装置,青紫色レーザを使う光ディスク装置などの市場だという。

 ディスプレイ,プリンター,HDDは世界市場規模と日本市場規模(プリンターのみ2011年まで予測),光ディスク装置は世界市場規模のみ,イメージ・スキャナーとOCRは日本市場規模のみを予測した。なお,HDDはパソコン向けと民生機器向けを含む市場規模,光ディスク装置はパソコン向けに絞った市場規模調査になっている。

 ディスプレイ市場では,CRTから液晶パネルへの移行はほぼ完了したという。日本では2007年時点でCRTディスプレイの出荷はゼロ。世界市場でも,2006年の約3200万台から2010年には550万台弱へと大幅に縮小する。液晶ディスプレイは,世界,日本ともに15型以下と16~17型が減少し,18~19型と20型以上が伸張する見込み。ただ,世界市場は今後も成長が望めるのに対し,日本市場はデスクトップ・パソコンの低迷により,2010年までほぼ横ばいの市場になる。ノート・パソコン用の液晶パネルは,世界市場では今後大型化が進むのに対し,日本ではモバイル・ノート・パソコンの需要があるため12型以下の市場も成長を続けるという。

 プリンターの2007年の台数構成比はインクジェット複合機が48%,インクジェット単機能機が24%,ページ単機能機が18%,ページ複合機が8%,ドット・マトリクスが2%で,2011年でも構成比に大きな変化はないという。ただ,金額ベースの構成比では,単価の高さを反映してページ複合機が半分以上を占める。

 光ディスク装置の2007年の台数構成比は,記録型DVD装置(いわゆるDVDスーパーマルチドライブ)が約3分の1を占め,2010年でもその割合はほぼ変わらない見込み。大幅に伸びると予想されるのは青紫色レーザを使う光ディスク装置。2007年には0.6%だったが,2010年には15%に拡大する。記録向けのハイパワー青紫色レーザはまだ高価であるため,当初は再生ドライブが先行し,価格低下に伴って記録ドライブが普及する見通しだ。

 HDDは,世界市場では3.5型が約3分の2,2.5型が約3分の1だが,2.5型HDDを搭載するノート・パソコンの伸びに伴って,2010年にはほぼ同数になる見込み。日本市場では,既に2.5型のほうがわずかに多いが,3.5型にはHDDレコーダーなどの需要もあるため,2010年でも割合はそれほど変わらない見込み。HDD全体の台数構成比は,6割弱がパソコン向け,民生機器(HDDレコーダー,ビデオ・カメラ,音楽プレーヤー,家庭用ゲーム機など)向けが16~17%,残りが外付けドライブやアップグレード向けだという。フラッシュ・メモリとの競合については,あくまで委員会の意見と前置きしたうえで「100Gバイトを目安に,それ以上がHDD,以下がフラッシュというすみ分けになるのではないか」とした。