200ルクスの低照度環境で反応する可視光応答型光触媒
200ルクスの低照度環境で反応する可視光応答型光触媒
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 東芝マテリアルは,室内などの低照度環境で従来の酸化チタン系光触媒の30倍以上という高いガス分解性能を示す可視光応答型光触媒を開発した(図)。新しい光触媒は酸化チタン系とは別の酸化物の複合材。100nm以下の微粒子にする加工技術や表面ナノ構造の最適化技術,ナノスケールの原子配置に着目した活性化処理などを駆使することで光吸収帯域の範囲を広げ,200ルクス以下の可視光で高いガス分解性能や抗菌作用を発揮させることに成功した。低照度環境に適用可能な可視光応答型光触媒は「世界で初めて」(同社)。

 従来の光触媒の主流は紫外光で反応する酸化チタン系で,用途は住宅外壁材や窓ガラスなど主に屋外向けだった。室内での利用を目的に開発された酸化チタン系可視光応答型光触媒もあるが,十分な反応を起こすには6000ルクス以上の照度が必要で,実際の室内光の低照度環境では思うような効果が得られなかった。

 新しい光触媒の登場で,用途は家庭内や病院,学校といった公共施設内の壁紙や家具,家電製品などに広がる。これにより,その市場規模は「2011年に600億円超」(同社)に拡大するとみられている。同社は今後,各分野の有力企業と共同で開発を進め,2011年に可視光応答型光触媒市場で売上高100億円を目指す。

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