BlueOrganizerが自動認識する情報
BlueOrganizerが自動認識する情報
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 Webにセマンティクス(意味)を持ち込もうと「Semantic Web」を提唱したのは,Webの開発者であるTim Berners-Lee氏だ。だが,Webコンテンツの作成者が意味づけのための情報を付与しなければならないため,なかなか普及できずにいる。Semantic Webほど「賢い」Webではないが,今ある情報だけで,多少なりともWebを「賢く」できないか――それが米AdaptiveBlue社の「BlueOrganizer」だ。同社は2008年2月に公開した最新版を「O'Reilly Emerging Technology Conference(ETech)」で披露した。

 最新版ではリンクやテキストに存在するコンテキストを自動的に認識する機能を追加した。例えばオンライン書店Aである本を閲覧していると,BlueOrganizerのメニューには自動的に別のオンライン書店であるB社の,同じ本へのリンクが追加される。また米国内に限られるが,住所が書かれていると識別できたらその情報を元にGoogle Mapsのサイトを呼び出すといったことが可能になる。「いちいち検索することなく,直接呼び出せる」(AdaptiveBlue社Founder兼CEOのAlex Iskold氏)。対応するコンテキストの種類としては,本,音楽,映画,株価,映画スター,レシピ,レストラン,旅行先などがある。

 コンテキストを認識する際に利用する情報としては,(1)クライアントに配信される,本や映画などを定義したXMLデータ,(2)コンテンツ作成者が記述したマイクロフォーマット(HTMLの一部としてセクションごとの意味や名称を定義するための記述方式)の定義内容,(3)プログラム内に記述された住所などの固有名詞,があるという。

 現在はFirefoxの拡張機能として実装されている。Internet Explorerへの対応は次の段階で,「その後自然な流れとして家電向けのブラウザーにも対応していきたい」(Iskold氏)。また米国版しか存在しないが,「フランス版や韓国版などのリクエストがきている。とても我々だけではカバーできないので,オープンソース化するなどしてコミュニティを作って対応したい」(Iskold氏)。