韓国Displaybank Co.,Ltd.は,シャープとソニーによる大型液晶パネルの合弁会社設立が今後の液晶パネル市場に与える影響を予測した(発表資料)。シャープとソニーは2008年2月26日に,シャープが大阪府堺市に建設中の液晶工場を合弁会社とし,両社にテレビ向け液晶パネルの供給を行うことを発表している(Tech-On!の関連記事)。

 Displaybank社によれば,ソニーは現在,液晶テレビの販売台数で世界第2位の位置を占める。2007年の販売実績は約1000万台。現在のテレビ向け液晶パネルの調達先は60%が韓国Samsung Electronics Co., Ltd.,35%が台湾AU Optronics Corp.(以下,AUO),5%がその他の台湾パネル・メーカーという。しかし,シャープとの合弁会社設立によって,ソニーは液晶パネルの調達先として合弁会社を加えることになる。


液晶テレビのブランド別世界販売台数

 現在ソニーがテレビ向け液晶パネルの最大の調達先としているSamsung Electronics社の液晶パネルの主な顧客は,自社(Samsung Electronics社)が45%,ソニーが35%,その他が20%である。Displaybank社は,シャープとソニーの合弁会社設立によるSamsung Electronics社への影響は短期的には小さいとするものの,「Samsung Electronics社は,シャープとソニーの新工場が稼働を始める2010年に備えて,顧客の確保やマーケティング,新規ラインへの投資などの戦略を再構築する必要がある」と説明する。Samsung Electronics社は,自社のテレビ事業の拡大や第8世代や第10世代の生産ラインに対する検討を早急に進める可能性が高いとする。また,シャープとソニーの第10世代新工場の主要生産品目が42型,57型,65型になると見られるため,液晶テレビ市場の中心機種が42型と57型となった場合には,それらの画面寸法でも供給先を失う可能性が出てくるという。

 台湾のパネル・メーカーへの影響は中期的に見て大きいと予測する。これまで生産パネルの95%以上を社内で消費していたシャープが,外部への液晶パネル供給を開始することによって,競争激化を招くことが要因という。台湾パネル・メーカーの現在の主な顧客はソニーとSamsung Electronics社。シャープとソニーの合弁会社設立やSamsung Electronics社の液晶パネルの生産ラインへの追加投資によって,パネル全体の供給量が増加し,台湾メーカーへの需要が減少するとみる。

 一方,Displaybank社はシャープとソニーの合弁会社設立によるメリットも指摘する。今後,パネル・メーカーとテレビ・セット・メーカーとの協業は,特に中堅のメーカー間において戦略的に行われるようになると分析する。加えて,トップ・メーカー間の競争によって,50型以上のパネルの市場規模が急速に成長し,用途の拡大や多様化につながるとする。

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