図1 オーディオ機器の発売を発表する西和彦氏
図1 オーディオ機器の発売を発表する西和彦氏
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図2 デジタルドメインが発売する2種類のDAコンバータ
図2 デジタルドメインが発売する2種類のDAコンバータ
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 「時代を超えた価値を生み出す」――。
 旧アスキー創業者の西和彦氏が2007年3月に設立したデジタルドメインは,静電誘導トランジスタ(SIT)を使ったオーディオ機器を発売すると発表した(図1)。記者会見で西氏は,開発に対する熱い思いを語り,25分間ほど音楽の鑑賞時間を設けた。質疑応答では「売上げや利益を目指すのはイヤだ」「目標販売台数はない」「会社がつぶれない程度に売れればよい」「納得いくモノを作りたい」などと述べ,“西和彦ワールド”を展開した。

 西氏は1998年にアスキーを退職後,教育分野などで活動していた。大学で博士号を取得する過程で,デジタルドメインで取締役会長を務める持田 康典氏に師事し,理想の音響機器を作るための会社を設立したという。製造工場は持たず,企画と販売を手掛ける。持田氏は元ヤマハの音響技術者である。

 今回,デジタルドメインはメインアンプ「B-1a」と,DAコンバータ「D-1a」「D-1b」を発表した。音響向けアンプでは一般的に,数回に分けて,つまり多段でアナログ信号を増幅する。B-1aでは全段にSITを使ったという。SITは内部抵抗が低く,入出力の直線性が良いため,音響向けアンプにとって「好都合」(西氏)という。ただし,ノーマリーオン特性であり,非動作時においても電力を消費する。

 DAコンバータについては,「マルチビットで高速なサンプリング・レートを持つ音響機器に真正面から取り組んだ」(西氏)という。出力部のフィルタをなくして3Hzという低周波の音まで対応した。入力周波数を24bitで最大192kHzまでアップサンプリングできる。

 価格はB-1aが105万円,D-1aが157万5000円,D-1bが105万円である。デジタルドメインは今回の製品を「A&Vフェスタ2008」(パシフィコ横浜,2008年2月23~25日)に出展する。