中・小型液晶パネル事業を営むオプトレックスは2008年2月14日,同8日に提出していた事業再構築計画に対し,経済産業省の認定を受けた。オプトレックスは旭硝子と三菱電機の合弁企業で,投資ファンドである日本産業パートナーズへの売却が決まっている(Tech-On!関連記事)。経営の立て直しを図るため,産業活力再生特別措置法による政府の支援を求め,2008年2月~2010年12月の事業再構築計画を提出していた。認定を受けたことで同社は,登録免許税の軽減措置が受けられる。

 オプトレックスの再構築計画は,増資により中核事業を強化するとともに不採算事業の整理を進め,財務内容を健全化するというもの。ROE(自己資本利益率)を20ポイント改善することを目標に掲げている。増資は旭硝子から48億円,三菱電機から32億円,株式譲渡後に日本産業パートナーズから77億5000万円を受ける。

 中核事業と位置づけるのは,車載機器向けと産業機器向けの中・小型液晶パネル。これまで手掛けてきた携帯電話機向けと民生機器向けの中・小型液晶パネル事業からは撤退する。競争の激しい少品種大量型のビジネスを手放し,顧客との連携に基づく多品種少量型のビジネスに注力するとした。

国内は2拠点にしぼる

 この方針に沿って,携帯電話機や民生機器向けパネル関連の生産設備は売却し,携帯電話機向けパネルの販売を手掛けていた香港の販売子会社は閉鎖する。国内拠点についても,テクニカルセンター(兵庫県三田市)を閉鎖し,本社(東京都荒川区)と広島オプト(広島県三次市)の2拠点体制とする。全社の従業員は5706人から4737人へ削減する。

 生産については海外比率を上げていく。広島工場はパネルからモジュールまで一貫で生産してきたが,今後はタイ工場へ順次移管。中国にもTFT液晶パネルの製造ラインを移管する。さらに,車載機器向け液晶パネルのカラー化の流れに合わせ,チェコ工場にもTFT液晶パネルの生産設備を導入する。

円形の液晶パネルを車載インパネ市場に投入

 中核事業の新製品としてオプトレックスは,円形などの異型のTFT液晶パネルと,コントラスト比が1000:1以上のVA(vertical alignment)方式のモノクロ液晶パネルの開発を進めている。これら新製品の全社に占める売上比率を3.9%以上とし,収益の改善を狙う。

 円形パネルは2008年度中に開発を完了し,2009年から海外自動車メーカー1社に向けて販売を始める。売上高は2009年に10億円,2010年に12億円を予定している。高コントラストの白黒パネルはスタティック駆動品とデューティー比1/4程度の品種を車載機器向けに拡販中。今後はデューティー比1/16以上の品種を開発し,2008年下期には車載機器メーカーや電装メーカーへの販売を開始する。売上高は2009年に13億7000万円,2010年に16億円を目指す。