日立製作所は日立粉末冶金と共同で,バナジウムを主原料とする低融点ガラスを開発した。特徴は,有害な鉛や希少資源のビスマスを一切使用しないこと。バナジウムのガラス構造を層状構造から三次元構造に変化させ,さらに構造を緻密化したことで封着部の気密性や耐湿性などを向上させた。同ガラスに電子伝導機能を付加すれば,帯電を防止する被覆材にも利用できる。

 従来の低温ガラスの封着や被覆には鉛系低融点ガラスを用いてきたが,最近ではRoHS指令に対応し有害な鉛を含まないビスマス系低融点ガラスが利用され始めている。しかし,ビスマスは主に鉛の副産物として採掘されるために環境保全の問題や,希少資源として安定供給の問題があった。加えて,ビスマス系ガラスの封着や被覆の温度は450℃以上と,鉛系ガラスの400℃に比べて高い点も課題だった。

 同技術は,2008年2月13~15日に東京ビッグサイトで開催中の「国際ナノテクノロジー総合展・技術会議(nano tech 2008)」に出展される。