【図1】細胞センサーの仕組み
【図1】細胞センサーの仕組み
[画像のクリックで拡大表示]
【図2】細胞センサーの検出原理
【図2】細胞センサーの検出原理
[画像のクリックで拡大表示]
【図3】ダイオキシンの投与実験の結果
【図3】ダイオキシンの投与実験の結果
[画像のクリックで拡大表示]

 東芝は,有害物質であるダイオキシン,PCB(ポリ塩化ビフェニール),臭素系難燃剤に結合する酵素遺伝子とホタルの発光酵素遺伝子を組み込んだ細胞センサーを開発(図1),国際ナノテクノロジー総合展「nano tech 2008」(2月13~15日,東京ビッグサイト)に出展した。学会発表は行っているが,展示会で一般に公開するのは初めて。製品化時期は未定という。

 検出原理としては,ダイオキシンやPCBがまず受容体と結合し,さらにこれが酵素遺伝子(TH遺伝子)に結合して,隣接する発光遺伝子に作用して細胞が発光する(図2)。ダイオキシン,PCB,臭素系難燃剤にはいずれもハロゲンが含まれており,なんらかの形で関係しているとみられるが,結合のメカニズムはまだ完全には分かっておらず,解明中だという。

 細胞センサーにダイオキシンを投与した実験では,4時間後には発光し始め,6時間後には認識できるレベルとなった(図3)。これまでもこうしたバイオアッセイ(生物学的な応答を利用して生物作用量を評価する方法)による細胞センサーは開発されているが,従来は検出までに24時間程度かかっていたため,より短時間で検出できる実用的なセンサーが実現する可能性があるとしている。

この記事を英語で読む