国産ジェット旅客機「MRJ(Mitsubishi Regional Jet)」の事業化の最終決定に向けて検討を進めている三菱重工業の動きが活発化している。2008年2月12日,同社は国際的な航空業界3団体に加入したと発表。また,同社名古屋航空宇宙システム製作所は同16日に東京,同17日に大阪で大規模な技術者の中途採用に向けたセミナーを開催し,航空機の生産技術,生産管理,航空機設計の技術者を募集する。

 中途採用向けセミナーを告知するウェブサイトでは,同製作所主幹プロジェクト統括でMRJプロジェクト・リーダーの宮川淳一氏がガイド役になって三菱重工の航空機事業の現状を説明している。例えば航空機設計技術者の募集ページでは,「『環境に優しい』先端技術~勝算あり! MRJプロジェクト」と掲載。また,セミナーの説明ページには「この度,三菱重工では,国家的プロジェクトであるMRJプロジェクトをはじめとした航空機プロジェクトが,動き出しています。我々はこのプロジェクト成功に向けて,今まで培った三菱重工の全てを投入したいと思います。さらに,世界でも類を見ない,画期的な航空機を開発するためには,斬新な発想と豊かな経験を持った人材が,今後ますます必要となっています。このプロジェクトの中核を担い,未来の航空機業界を創出するエンジニアを大募集致します」と書かれている。「このプロジェクト」がMRJプロジェクトだけを指すとは断定できないが,素直に読むとMRJに向けた人材を募集していると読める。

 また,同12日に加入を発表した航空業界団体は,ERA(European Regions Airline Association),RAA(Regional Airline Association),IATA(International Air Transport Association:国際航空運送協会)の3団体。同社は発表資料の中で「MRJの事業化にとって,これら団体への加入が有益だと判断した」とした上で,MRJの事業化に向けた「諸々の取り組みを全社一丸となって推進していく」と述べている。

 同社は2008年3月末までの事業化最終決定に向けて,現在,仕様や価格などを航空会社に正式に提示して営業活動を進めているところ。「MRJの事業化の最終決定に関して公式的な発表はしていない」(同社広報・IR部)としているが,事業化に大きく前進していると見て間違いない。

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