日本では3年前に比べて科学技術に関心を持つ人が増えている---。こんな実態が内閣府の調査で明らかになった。内閣府は「科学技術と社会」と題する個別面接調査を実施した。2007年11月29日~同12月9日に全国20歳以上の男女を対象として聞き取りを行い,1667件の有効回答を集めた。この調査によれば「科学技術についてのニュースや話題に関心があるか」との問いに「関心がある」と答えた人の割合は61.1%で,2004年2月の前回調査の52.7%を上回った。

 科学技術の発展を肯定的にとらえる人も増えている。「科学技術の発展により物の豊かさが向上したと思うか」との問いに「向上した」とする人の割合は82.5%となり,前回調査の78.9%を超えた。「科学技術が(発展することで)悪用されたり,あやまって使われる危険性が増えると思うか」という問いには「そう思う」と答えた人が77.1%を占めたが,前回調査の83.6%に比べると低下している。「国際的な競争力を高めるためには科学技術を発展させる必要があると思うか」との問いには「そう思う」とする人が前回調査の70.6%から78.3%に増えた。

「国際競争力をつけるために科学技術の発展が必要か」に対する回答状況
「国際競争力をつけるために科学技術の発展が必要か」に対する回答状況 (画像のクリックで拡大)

 科学者や技術者が講演やメディアを通じて情報発信することについて「機会があれば科学者や技術者の話を聞いてみたい」とする人は,前回調査の50.7%に対して60.4%に上る。「科学技術に関する知識は,実際に体験したり,わかりやすく説明されれば大抵の人は理解できると思うか」という問いには「そう思う」と答えた人が64.1%を占め,前回調査の52.5%から10ポイント以上,増加した。

 「(科学者や技術者の)話を聞いてみたい分野」として人気を集めたのは「地球環境問題」(61.3%),次いで「ライフサイエンス,バイオテクノロジーなど」(52.4%),「エネルギー問題」(48.4%)である。「科学技術が貢献すべき分野」としても「地球環境や自然環境の保全」が72.8%,「資源・エネルギーの開発,有効利用やリサイクル」が71.4%と高かった。以下,「廃棄物の処理・処分」が48.5%,「食料の生産や健康の維持・増進」が47.8%となっている。