図1 NTTドコモ向け端末「FOMA P905iTV」の展示様子。付属するステレオ・スピーカーの上に置いている。
図1 NTTドコモ向け端末「FOMA P905iTV」の展示様子。付属するステレオ・スピーカーの上に置いている。
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図2  KDDI向け端末「W61P」
図2  KDDI向け端末「W61P」
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図3 「ボードモールド工法」を適用したメイン基板の側面。左が従来法で,右が今回の手法を採用したもの。今回のほうが薄くできているのがわかる。
図3 「ボードモールド工法」を適用したメイン基板の側面。左が従来法で,右が今回の手法を採用したもの。今回のほうが薄くできているのがわかる。
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図4 「ボードモールド工法」の説明。左が従来法で,右が今回の手法。従来法は樹脂が厚いため,実装してある部品が見えない。一方,今回の手法では充填してある樹脂の厚さが薄いので,LSIパッケージに書かれた文字をうっすらと読むことができる。
図4 「ボードモールド工法」の説明。左が従来法で,右が今回の手法。従来法は樹脂が厚いため,実装してある部品が見えない。一方,今回の手法では充填してある樹脂の厚さが薄いので,LSIパッケージに書かれた文字をうっすらと読むことができる。
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 パナソニック モバイルコミュニケーションズは,2008年2月1日に同社が開催した発表会で,NTTドコモやソフトバンクモバイル,KDDI向け新製品計7機種をいっせいに披露した。新製品の開発に当たり,同社の高画質化技術やワンセグの高感度化技術,薄型化技術にさらに磨きをかけたという。

15フレーム/秒から30フレーム/秒に

 高画質化に関しては,NTTドコモ向け端末「FOMA P905iTV」での取り組みを紹介した(図1)。この機種は,松下電器産業のPDPテレビや液晶テレビが用いる画像処理プロセサ「PEAKSプロセッサー」の画像処理技術を携帯電話機用に適用した「モバイルPEAKSプロセッサー」を搭載し,画質の向上を図ったほか,さらに携帯電話機向けの新機能を盛り込んだ。具体的には,画像補間技術を導入して15フレーム/秒のワンセグ放送を30フレーム/秒で表示できるようににした。コントラスト比は最大4000対1と従来の2倍に高めた。高画質化のために上昇した製造コストは,GMSによる国際ローミング機能などの省略でカバーした形になっている。

 P905iTVでは内蔵アンテナとロッドアンテナを組み合わせて使い,ワンセグ放送の受信感度を高めている。通常では,内蔵アンテナだけでワンセグ放送を視聴するが,高いビルが密集する場所など,受信しにくい場所では,筐体からロッド・アンテナを引き出して受信感度を向上させるといった使い方を想定する。

 KDDI向け端末「W61P」では,液晶画面の輝度を「約400cd/m2と,業界最高水準にまで高めた」(説明員)とする(図2)。同社従来機や他社競合品では,輝度の高い品種で300cd/m2程度のものが多いが,今回は主に液晶バックライトに利用する白色LEDの数を5個と,同社従来品の3個から増やして輝度を高めたという。

メイン基板の実装手法を改良して薄く

 薄型化技術に関しては,同社が薄型機種に導入している「ボードモールド工法」の改良に関して紹介した(図3)。同手法は部品の実装面をすべて樹脂で固めて強度を確保するもの。薄型化によって低下する強度を高める目的がある。今回の製品では主に樹脂材料を改良して,従来よりも14%ほど薄くしても今までと同程度の強度を確保した(図3)。この技術をNTTドコモ向け端末「FOMA P705i」や「FOMA P705iμ」,「PROSOLID μ」,KDDI向け端末「W61P」で採用している。この技術により,ワンセグ受信機能を備えるP705iは折りたたみ時で厚さ12.8mm,W61Pは同12.9mmを実現した。ワンセグ受信機能を備えない機種では,P705iμとPROSOLIDμで折りたたみ時いずれも厚さ9.8mmを達成している。

 P705iμとPROSOLID μでは,薄型化を図るためヒンジを小型化している。具体的には,ヒンジ側面にある押すと自動的に折りたたみ状態から筐体を開けるボタンの直径を従来よりも15%ほど小さくした。

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