松下電器産業の2007年度第3四半期(2007年10月~12月)連結決算は,日本ビクターを連結対象から外した影響を除くと,実質的に増収増益となった。具体的には,売上高が対前年同期比4%増の2兆3446億円,営業利益が同22%増の1654億円である。純利益は同46%増の1152億円と,四半期の決算では過去最高を更新した。

図1 AVCネットワークを中心に全部門で増益。AVCネットワーク,アプライアンス,デバイスの各部門は営業利益7%超を確保した
図1 AVCネットワークを中心に全部門で増益。AVCネットワーク,アプライアンス,デバイスの各部門は営業利益7%超を確保した (画像のクリックで拡大)

 各セグメントのうち,増益幅が最も大きかったのがAVCネットワーク部門である。売上高は同5%増の1兆2077億円,営業利益は同19%増の843億円となった。北米,欧州,アジアで売上高を伸ばした薄型テレビのほか,「LUMIX DMC-FX33」をヒットさせたデジタル・カメラ,国内で「P905i」の品薄状態が続く携帯電話機,カー・エレクトロニクスなどの事業が好調だった。ただし,オーディオや光ディスク装置の事業は減収となった。

図2 薄型テレビの売上高は前年同期比20%増に
図2 薄型テレビの売上高は前年同期比20%増に (画像のクリックで拡大)

薄型テレビ,年間売上高9000億円達成の見通し

 松下電器産業は,2007年における薄型テレビの販売台数について,PDPテレビが500万台,液晶テレビが400万台との計画を立てていた(Tech-On!関連記事)。

 このうちPDPテレビは,いわゆる「フルHD」対応機種の投入が遅れた結果,上期(4月~9月)の売上台数は計画よりも50万台ほど下回っていた。今期(10月~12月)は2007年9月からフルHDの普及モデルを出荷したことで,販売台数は「計画通り」(同社 経理・財務担当 取締役の上野山実氏)に推移。第4四半期では上期の取り落としの挽回を図るが,販売台数は500万台を下回る見込みという。

 液晶テレビについては,液晶パネルの調達難が続いた結果,計画通りには出荷数を伸ばせなかったという。下期もパネル不足は解消しない見込みで,同社は液晶テレビの年間販売台数は350万台前後になると予測している。

 ただし,薄型テレビ事業の売上高は「計画を上回る9000億円以上を達成できる見通し」(上野山氏)。PDPテレビの需要が50インチ以上にシフトし,単価を押し上げた結果という。

図3 白物家電を扱うアプライアンス部門の売上高は,欧州やアジアで売り上げを伸ばした結果,同6%増となる3310億円となった。中国のエアコンが不調だったのは,中国政府が実施した人民元貸出残高の総量規制の影響で,中国のエアコン事業への投資を絞らざるを得なくなったためという
図3 白物家電を扱うアプライアンス部門の売上高は,欧州やアジアで売り上げを伸ばした結果,同6%増となる3310億円となった。中国のエアコンが不調だったのは,中国政府が実施した人民元貸出残高の総量規制の影響で,中国のエアコン事業への投資を絞らざるを得なくなったためという (画像のクリックで拡大)

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