図1 ハイビジョン対応機における,日立製作所のシェア目標
図1 ハイビジョン対応機における,日立製作所のシェア目標
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図2 Blu-ray Disc対応機。中央にある黒色の品種が,新製品の「DZ-BD9H」
図2 Blu-ray Disc対応機。中央にある黒色の品種が,新製品の「DZ-BD9H」
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図3 「水平解像度は1000本に迫る」と主張
図3 「水平解像度は1000本に迫る」と主張
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 日立製作所は,ビデオ・カメラの事業戦略や新製品の説明会を開催した。1920×1080画素のいわゆるフルHDで映像を撮影・保存できる製品を強化することで,「2008年秋にはハイビジョン対応ビデオ・カメラの国内市場シェアで20%を確保したい」(同社 コンシューマ事業グループ デジタルコンシューマ事業部 商品企画本部長の吉野正則氏)という(図1)。同社によれば,ハイビジョン対応機の市場シェアは2007年秋の段階で5%。同機を拡充する2008年春にはシェア15%にまで持っていきたい考えである。

 日立製作所がビデオ・カメラ事業を強化するために掲げるキーワードがBlu-ray Disc対応である(図2)。Blu-ray Disc媒体に記録できる品種(以下,Blu-ray Disc対応機)や,外付けのBlu-ray Disc対応ライター(HDDに記録した映像をBlu-ray Disc媒体に書き込むための機器)に映像信号を出力するeSATA端子を備えた品種を拡充する。同社は,2007年末ころから「やっと,一般消費者の間でBlu-ray Discが認知されてきた」(吉野氏)とし,Blu-ray Disc対応機が受け入れられる土壌が整ったとみている。

撮影画像の解像度は約10%改善,低照度環境での撮影画質は約1.5倍

 事業戦略説明会では,ビデオ・カメラ事業強化策の第1弾製品の特徴を説明した。旗艦製品となる新型のBlu-ray Disc対応機「DZ-BD9H」は,画質を大幅に向上させたとする(製品の発表資料)。撮影画像の解像度は同社従来品に比べて約10%高め,「水平解像度は1000本に迫る」(日立製作所 コンシューマ事業グループ 商品企画本部 戦略部 担当部長の島上和人氏)(図3)。さらに,低照度環境での撮影画像の画質を従来比で約1.5倍,手ブレ補正能力を約2倍に高めたという。

 これらの画質向上は,光学系,CMOSセンサ,映像処理エンジンのそれぞれの性能を改善したことで実現できたとする。例えば解像度については,光学系では周波数特性を高め,CMOSセンサではカラー・フィルタの材質を変更してS/Nを改善し,映像処理エンジンでは動き予測制御を最適化して解像度の高いデータ圧縮を可能にしたとする。動き予測制御については,動きが少なく,細かい映像ブロックに多くの符号化量を割り当てることが解像度の向上に効いたという。

 低照度性能については,カラー・フィルタの材質変更によるCMOSセンサの感度向上,映像処理エンジンにおいて映像に最適化した雑音除去技術の採用によって改善した。CMOSセンサでは,最低被写体照度を従来の24lxから今回は15lxまで下げることができた。映像処理エンジンでは,映像情報が少ない部分で雑音低減を重視し,映像情報が多い部分で映像を重視した雑音低減処理を施している。