リソースの稼動状況
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変数のライフ・サイクル
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 ベルギーFrontier Design社は,C言語で表現したLSIの動作記述から論理合成可能なRTLコードを出力するツール「A|RT Designer」を発売した(リリース文)。同社はこれまで,RTLのC言語記述をVHDLやVerilog-HDL記述に変換するツール「A|RT Builder」(EDA Online関連記事1)を提供してきたが,今回のツールはその上位互換になる。

 今回のツールは,スケジューリングやリソース割り当てといった動作合成ツールの機能を一通りそろえており,アルゴリズムに近いC言語の動作記述から完全自動処理で,論理合成可能なRTLのVHDLまたはVerilog-HDLコードを出力できる。できあがった回路は,データパスと制御回路を組み合わせたVLIW風のマイクロコントローラになる。米Tensilica Inc.などが提供する「リコンフィグアラブル・プロセサ」(EDA Online関連記事2)に比べると,より広範囲なコントローラを開発できるという。

 これまでの動作合成ツールとA|RT Designerとの最も大きな違いは,設計者の意図を反映させることで,より良い結果を出せるように考慮した点といえる。従来の動作合成ツールは,どちらかというと完全自動ツールに近かった。今回のツールでは,初期解を自動合成し,それをベースに設計者が変更を加える。たとえば,リソースの割り当て方法などを人手で強制変更する機能をもつ。この作業を支援するために,リソース(演算器)やバスの稼動状況,変数のライフ・サイクルななどを解析してグラフィカル表示する。また,制御回路は6種類のアーキテクチャを選べる。有限状態マシンをそのまま実現した回路から,マイクロコントローラのような複雑な制御を行なう回路までそろえている。

 A|RT Designerは国内では丸文(ホームページ)とパルテック(ホームページ)が販売する。丸文はUNIXとWindows NTで稼動する全品種を扱う。パルテックは,米Altera Corp.のCPLD専用版(パソコンで稼動)を販売する。