アップコンバートに関するスライド
アップコンバートに関するスライド
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東芝の秘密兵器がCell Broadband Engine(以下Cell)」だ。超高性能なプロセサを使い,SDTVをHDTVにアップコンバートする計画を,記者会見で述べた。2008年中に商品化の予定という。Cellは今,PlayStation 3(PS3)に搭載されているが,AV関係での有力なアプリケーションが,「高画質へのアップコンバートだ。むしろ「アップ・クリエーション」と言ったほうが正確だ。

 フィルムは1秒に24枚,ビデオは60枚の静止画で構成されている。その一枚一枚の画像情報は微妙に異なっている。動画ではもちろんのこと,たとえ静止画であっても,フィルムはパーフォレーションでの搬送によって撮影時に必ず,微小の揺れがある。また銀塩粒子はランダムに分布している。

 つまり,ある一点のオブジェクト(例えば芝の目)について,時間軸方向に膨大な異なった映像情報が散在していることになる。それらを統合して演算処理することによって,情報量を飛躍的に向上させるのだ。すでに東芝は2007年のCEATECで,パソコンを使ってSDTVからHDTVへのアップコンバートの実演をしている。この時は,実時間の3倍程度の時間がかかったが,それをリアルタイムでできれば,テレビに搭載も可能だ。貧弱なSDTV画像が,きれいなHDTV画像に変身するテレビは,ぜひみてみたいものだ。