古いパソコンに外付け地デジチューナーを追加した場合、考えられる不都合は2点ある。映像の生成・表示にCPU性能が追いつかないことと、コンテンツ保護のため、アナログRGBなどで接続されたディスプレイにハイビジョン画質の映像を出力できないことだ。受信した映像データをチューナー側の映像処理LSIで圧縮し、必要に応じて解像度をワイドVGA相当まで落とし、その上でパソコンにデータを引き渡すことで、こうした問題を解決する(図7)。コンテンツ保護の仕組みはチューナー内蔵型の地デジテレパソとほぼ同様で、MULTI2の復号、ローカル暗号化、パソコン内の監視の3機能を集積した専用LSIをチューナー側に実装。パソコンにインストールする視聴ソフトとの間で1対1の認証をし、その上で視聴ソフトがローカル暗号を復号する。

図7 解像度とビットレートを、4種類のプリセット値から選択できる。「SP」か「LP」を選択すれば、著作権保護機能のないディスプレイでもテレビを視聴できる
図7 解像度とビットレートを、4種類のプリセット値から選択できる。「SP」か「LP」を選択すれば、著作権保護機能のないディスプレイでもテレビを視聴できる (画像のクリックで拡大)

 さらに同社では、きょう体の小型化を進めている。試作機では、ノートパソコン内部のメイン基板上にあるスロットに、直接モジュールを挿して動かしていた(図8~9)。B-CASカードスロットは省略できないが、それ以外の回路に関してはUSB接続型のワンセグチューナーとほぼ同程度に集積可能だ。

図8 ノートパソコン向けチューナーモジュールの試作機。B-CASカードリーダーを除いたチューナー部は赤枠の部分だけと小さい
図8 ノートパソコン向けチューナーモジュールの試作機。B-CASカードリーダーを除いたチューナー部は赤枠の部分だけと小さい (画像のクリックで拡大)
図9 チューナーモジュールの試作機を拡大したところ
図9 チューナーモジュールの試作機を拡大したところ (画像のクリックで拡大)

 同社は既に、miniPCIカード型製品をパソコンメーカーにOEM供給している。OEM供給品向けに開発した技術を単体販売品にも生かせることから、「正式に解禁となれば、遅くとも6カ月、できれば3カ月以内に量産出荷したい」(中村氏)。価格については、2万5000円前後を検討しているようだ。「(2万9800円の)Friioより安くなければ世界を塗り替えられない。一方、テレビ受像機向けの単体チューナーが1万9800円程度で市販されているので、双方の間くらいになるだろう」(中村氏)とする。ダビング10にも対応する考えだ。