メーカー別の出荷台数シェア
メーカー別の出荷台数シェア
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 調査会社のIDC Japanは,2007年第3四半期における国内の携帯電話機市場の調査結果を発表した(発表資料)。出荷台数は対前年同期比17.4%増の1168万台。前年同期からの成長率は堅調に推移したが,前年同期は出荷台数が急落した時期であったため,今後の市場は楽観視できないとIDC Japanは予測している。2007年第3四半期の出荷台数が,前半と比べると下降傾向であることも,楽観できない要因という。特に2007年9月以降は,通信事業者が集中的に在庫調整を行ったため,端末メーカーの中に不安感が広がっているとする。

 メーカー別の出荷台数シェアを見ると,首位はシャープ。22.2%のシェアを獲得した。同社は6四半期続けて首位を維持している。ただし,NTTドコモとソフトバンクモバイルが短期に集中して在庫調整を図ったため,シャープの出荷台数は直前期から大きく減少したという。

 2位も直前期に引き続き,パナソニック モバイルコミュニケーションズが維持した。シェアは14.2%である。地上デジタル放送対応の上位機種および薄型機種を中心とした低価格の第3世代携帯電話機を,NTTドコモ,au,ソフトバンクモバイルに向けて,バランスよく出荷したことが貢献した。3位は13.9%を獲得した富士通。高年齢層のユーザーや初心者ユーザーを狙った「らくらくホン」の出荷が安定して推移している。また,同社はNTTドコモ向けの「FOMA 904」シリーズで販売台数の1位を記録したという。4位以下は東芝の12.1%,NECの7.8%と続く。

 2007年第4四半期は前半に在庫調整が続き,後半以降出荷台数が徐々に上向くとIDC Japanは予測する。新たな端末の販売方式が市場に与える影響については,「短期的には需要喚起の一因となることが可能。ただし,新販売方式に対して慎重になり,買い控えを選択するユーザーも存在するため,急激な需要増加は考えにくい」としている。中期的に見た場合には,新販売方式が複数年の契約を必要とするため,ユーザーの買い替えサイクルは長期化するとみる。