NECは,旅行時の会話を日本語から英語へ翻訳できる携帯電話機向けの自動通訳ソフトウエアを開発したと発表した(発表資料)。2006年にNTTドコモから発売されたNEC製の携帯電話機 「SIMPURE N1」に試験搭載し,動作に成功したという。今回開発したソフトウエアは,外部のサーバーなどによる処理が不要で,携帯電話機向けのプロセサのみで動作する。携帯電話機に向かって日本語を話すと,音声認識を使って日本語の会話の内容をディスプレイ上に表示する。会話終了から音声認識の結果を表示するまでは1秒程度。その後,会話内容の翻訳を指示すると,1秒程度で英語への翻訳結果を表示する。

 今回開発したソフトウエアは,音声認識エンジン,翻訳エンジン,音声認識エンジンと翻訳エンジンを制御するミドルウエアの3つで構成する。音声認識エンジンには,NECが独自に開発した音声認識方式に基づくものを採用。携帯電話機に搭載するプロセサやメモリといったリソースの処理能力に合わせて,音声認識に用いる情報の詳細度と量を最適化したという。これによって,音声認識の速度や精度をほぼ保ったまま,パソコン向けの通訳ソフトウエアに比べて,リソースの使用量を約半分に削減したとする。

 翻訳エンジンは,NECが開発した翻訳方式に基づくものを携帯電話機向けにコンパクト化した。データ構造の最適化や辞書内容の見直しなどによって,翻訳の精度を保ったまま,パソコン向けの通訳ソフトウエアと比べて,辞書や実行系のファイルのサイズを約半分に抑えたという。

 また,音声認識エンジンと翻訳エンジンを制御するミドルウエアを搭載することで,メーラーやブラウザなど携帯電話機上の他のアプリケーションから通訳機能を呼び出して利用できるという。

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