矢野経済研究所は,リニアICの国内市場の調査結果を発表した(発表資料)。同社が国内の半導体メーカー12社を対象に,2007年6~9月に実施したヒアリング調査や文献調査に基づくもの。それによると,2006年における国内メーカーの電源ICの売上高は対前年比34.5%増の1561億円,出荷数は同33.0%増の77億7000万個だった。過去5年間,同市場は低迷を続けてきたが,民生向けのデジタル機器の好調な販売を受け,2006年は大幅に成長したという。用途を見ると約半分が携帯電話機で,約3割が薄型テレビやデジタル・カメラ,ノート・パソコンなどのデジタル家電だった。

国内メーカーによる電源ICの売上高の推移
国内メーカーによる電源ICの売上高の推移 (画像のクリックで拡大)

 2006年における電源IC市場のメーカー別売上高を見ると,首位はリコーの252億円。全体の16%を占めた。2位はセイコーインスツルで,売上高は180億円,シェアは12%である。3位はトレックス・セミコンダクター。売上高は121億円で,シェアは7%。上位3社は半導体事業の中で特に電源IC事業に注力して展開してきたが,それぞれ得意な製品分野が異なっているという。4位以下は,ルネサステクノロジ,富士通,新日本無線,富士電機デバイステクノロジー,三洋半導体などが続く。

 2006年における電源IC市場の製品種類別売上高を見ると,最も多いのはレギュレータ。562億円を売り上げ,36%のシェアを占めた。レギュレータは携帯機器の他にも,DVDレコーダーやプリンターといった据置型の機器に用途が拡大しており,今後も需要の拡大が見込めるという。そのほか,DC/DCコンバータが22%を占める350億円,複合電源が11%を占める183億円,バッテリー・マネジメントが同じく11%を占める169億円だった。

2006年における電源IC市場の製品種類別売上高
2006年における電源IC市場の製品種類別売上高 (画像のクリックで拡大)

 矢野経済研究所は,2007年の国内メーカーによる電源ICの売上高を1770億円とみる。今後は年平均12%程度で成長し,2011年には2825億円に達する見込みという。2011年における出荷数は2006年の約2倍に当たる140億7000万個と推測する。主な成長の要因は,デジタル家電の需要拡大と自動車の電装化と分析する。

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