経済産業省は,温室効果ガスの排出量を大幅に削減するための革新技術を20件選定し,重点的に支援していくと発表した(発表資料)。

 20件の技術は,同省が2007年8月から開催している「『Cool Earth―エネルギー革新技術計画』有識者会議」の骨子案を取りまとめる中で選定した。同会議は,二酸化炭素(CO2)など温室効果ガス排出量を2050年までに現在の1/2にすることを目標としている。

 今回選定された20の技術は,以下の通り。
(1)天然ガスを用いた高効率な火力発電,(2)高効率でゼロ・エミッションの石炭火力発電,(3)革新的な太陽光発電,(4)先進的な原子力発電,(5)超電導を用いた高効率送電,(6)高度交通システム,(7)燃料電池自動車,(8)プラグイン・ハイブリッド電気自動車,(9)バイオマスからの輸送用代替燃料,(10)革新的材料・製造・加工技術,(11)革新的製鉄プロセス,(12)省エネ住宅・ビル,(13)次世代高効率照明,(14)定置用燃料電池,(15)超高効率ヒートポンプ,(16)省エネ型の情報機器やシステム,(17)家庭,ビル,地域でのエネルギー・マネジメント・システム,(18)高性能な電力貯蔵,(19)パワー・エレクトロニクス,(20)水素の製造,輸送,貯蔵。

 (3)の革新的な太陽光発電は,量子ドットや多接合型など,新しい材料や半導体の構造を用いて変換効率40%以上を目指せる技術,あるいは有機系太陽電池技術や超薄膜技術を用いて1kWh当たり7円以下という低コストで発電できる技術を指す。

 (13)の次世代高効率照明は,150lm/W前後の高効率LED照明,有機EL技術を用いた照明などを指す。

 (17)のエネルギー・マネジメント・システムは,太陽光発電など天候に左右される発電システムを,従来の電力網に安全に組み込んでいくための技術などを指す。

支援方法は個別に検討

 現時点ではこれらの20の技術を選定しただけで,支援の具体的な内容はまだ決まっていない。ただし「単純に補助金を出すというこれまでのやり方とは違う。各技術ごとにどうすれば普及させることができるかというロードマップを描いた上で,課題を洗い出しそれに応じた立法措置,または予算的な支援策を考える」(経産省 資源エネルギー庁総合政策課 エネルギー戦略推進室)という。

 経済産業省は,2007年度内に,このCool Earth―エネルギー革新技術計画を取りまとめる予定である。

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