図◎北芝電機取締役社長・吉田民憲氏
図◎北芝電機取締役社長・吉田民憲氏
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 「今後、自動車の電子化やX-by-Wireの進展により車載用モータの用途は大きく広がる。積極的に先行投資し、タイミングよく新製品を投入していきたい。」と語るのは、北芝電機の取締役社長の吉田民憲氏である。同社は、カーエアコン用ブロアモータとエンジン冷却用ラジエータファンモータを手掛け、今年よりエンジンの可変バルブ機構用モータの量産を開始した。自動車の電子制御が進むにつれ、今後自動車1台当りに使用するモータ数が増加していくと見られる。吉田氏は中でも特に、これまでエンジン駆動だった機器のモータ駆動化とX-by-Wireの実用化が車載用モータ市場の拡大を牽引するという。同氏に、自動車の電子化及びX-by-Wireと車載用モータの関係、同社の車載用モータ事業への取り組み、今後の事業目標などについて聞いた。

 自動車の電子化との関係において、車載モータの事業機会をどのように捉えていますか。

 現在、自動車1台当たり使うモータの数は、50個から100個程度と言われています。自動車の電子化にともない、自動車に使用されるモータの数が増えていきます。電装メーカーのなかには、自動車1台に使用するモータの数は2010年に100個超、2015年には200個を超えると予測しているところもあります。

 車載用モータは、どのような用途に使われて行くのでしょうか。

 今後車載用モータの用途は拡大しますが、それには大きく二つの方向が考えられます。一つは、これまでエンジンで駆動していた機器のモータ駆動化です。かつては、ラジエータのファンはエンジンからベルトを介して回していました。しかし、現在ではほとんどがモータ駆動による電動ファンになっています。パワートレインのハイブリッド化も追い風になります。ハイブリッド自動車は、低・中速領域ではモータのみを推進力として使用しエンジンを停止することがあります。そうなると、例えばこれまでエンジン駆動となっていたコンプレッサなどは、HEV化・EV化で、モータ駆動になっていきます。

 車載用モータ用途拡大のもう一つの方向とは何でしょうか。

 もう一つの方向とは、X-By-Wireと呼ばれるものです。X-By-Wireとは、従来、ブレーキやステアリング操作など油圧やケーブルなど機械的な伝達を行っていたものを電気配線とモータによる電気的な伝達に置き換える技術です。

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