近距離無線通信の一つであるBluetoothの標準化を進める米The Bluetooth SIG,Inc.は,2007年11月8日に記者会見を開催し,SIG担当者が現在策定中の超低消費電力型のBluetooth「ULP(ultra low power) Bluetooth」と高速版Bluetoothの策定状況を明らかにした。策定作業は順調に進んでおり,共に2008年の早い段階での仕様策定を見込んでいる。

 ULP Bluetoothは,フィンランドNokia Corp.などを中心にして規格化を進めていた「WiBree」を基にしたもの。実装形態は,他の無線仕様とは独立に機器に実装する「スタンド・アローン」とアンテナやRFアナログ回路をBluetoothと共用する「デュアル・モード」の2種類を想定する。低消費電力である特性を生かして,腕時計やリモコン,センサなどへ搭載する用途に向ける。

 低消費電力化に伴い,近距離無線の一つであるZigBeeとの競合が予想されるが,「従来,ZigBeeは産業機器向けに,Bluetoothは民生機器向けに開発されてきた。ULP Bluetoothを採用したいメーカーは,ZigBeeとは異なる技術を求めている」(Bluetooth SIG Marketing DirectorのEric Schneider氏)と語った。同氏はZigBeeに対する利点として,伝送速度とBluetoothの市場出荷数の多さを挙げた。ULP Bluetoothの最大伝送速度は1Mビット/秒と,ZigBeeの最大伝送速度である250Kビット/秒と比べて高速で,画像伝送などまで対応できる。Bluetooth搭載機器の累積出荷台数は2008年に,携帯電話機などを中心に20億台を超える見込みで,相互運用性に優れるとする。

 一方,高速版Bluetoothは,物理層に業界団体WiMediaが策定したUWB技術を採用することで,最大伝送速度を480Mビット/秒に引き上げる予定。現在の仕様「Bluetooth 2.1+EDR」の最大伝送速度3Mバイト/秒と比べて伝送速度が大幅に上がるため,大容量の画像や動画伝送などの用途に向けるとする。

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