図1◎北極付近(第1回の撮影で得た動画の中から静止画として切り出したもの)
図1◎北極付近(第1回の撮影で得た動画の中から静止画として切り出したもの)
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図2◎「嵐の大洋」の西側(第2回の撮影で得た動画の中から静止画として切り出したもの)
図2◎「嵐の大洋」の西側(第2回の撮影で得た動画の中から静止画として切り出したもの)
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図3◎「嵐の大洋」の西側(同上)。画面中央手前に見えるのが「レプソルト」と呼ばれる直径約107kmのクレータ。同クレータを横切る溝が「レプソルト渓谷」である。
図3◎「嵐の大洋」の西側(同上)。画面中央手前に見えるのが「レプソルト」と呼ばれる直径約107kmのクレータ。同クレータを横切る溝が「レプソルト渓谷」である。
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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)と日本放送協会(NHK)は,2007年10月18日(日本時間,以下同)に高度約100kmの月周回観測軌道に投入した月周回衛星「かぐや(SELENE)」から,宇宙仕様のハイビジョンカメラ(HDTV)による月面撮影に成功した。上空約100kmからの月面のハイビジョン撮影は世界で初めて。

 撮影は,同年10月31日に2回にわたって実施された。1回目は月の表面の暗く見える「海」と呼ばれる部分(地球から見える月の表側の北半球左端),いわゆる「嵐の大洋」より北の位置から北極中心に向かって,第2回目は嵐の大洋の西側を南から北に向かって撮った。この動画画像をJAXA臼田宇宙空間観測所で受信し,NHKでデータ処理した。1回目,2回目とも,8分間を1分に縮めて収録している。

 1回目の北極付近の撮影では,緯度が高いために太陽光線の射し込む角度が低くなり,クレータ地形の影が長く映っている様子が分かる。一方,2回目撮影では,「レプソルト」と呼ばれる直径約107kmのクレータが見える。このクレータを横切る溝は「レプソルト渓谷」と呼ばれ,長さ約180km(東海道本線の東京-静岡間に相当)に及ぶという。

 なお,かぐやハイビジョンカメラによる動画映像はこちら

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