デンソーの2007年度中間決算(2007年4月~9月)は,売上高と経常利益,営業利益,純利益で上期として過去最高を達成した。売上高と営業利益は2002年上期から6年連続で過去最高を更新している。

 売上高は前年同期比14.5%増の1兆9478億800万円,営業利益は同22.3%増の1691億3100万円,純利益は同25.7%増の1182億9500万円だった。同社は中間期の業績予想を期中に上方修正したが,その修正予想をも上回る好決算となった。ただし,為替が円高に推移したことの影響が大きく,経常利益に与えた為替差による増益効果は約237億円と過去最大という。

欧州の利益が倍増

 事業そのものも好調に推移している。国内を除く全地域で,現地通貨ベースでも2ケタの増収増益を達成した。売上高の伸び率が最も大きかったのは豪亜地域。同地域での日系自動車メーカーの生産が拡大しているという。

 利益の伸びが特に大きかったのは欧州地域だ。利益率は3.8%と全地域の中で最も低いが,前年同期からの成長率は現地通貨ベースで99.5%と目ざましい。「チェコのエアコン工場,ハンガリーのコモン・レール工場で稼働率が上昇・安定したことにより利益率が上がった」(デンソー)。同社はハンガリーで生産したコモン・レールをトヨタ自動車や米Ford Motor Co.の欧州子会社などに供給している。

国内では減益,自動車生産量も下方修正

 一方,主力の国内事業は増収ながら減益となった。減益の主因は,減価償却費の見直しや,銅(Cu)やアルミニウム(Al)といった素材費の高騰など事業環境によるものという。加えて「まだ利益率が低い」(デンソー)トヨタのハイブリッド車向け製品の売上比率が増していることも減益の一因となった。

 デンソーは通期(2007年4月~2008年3月)の業績予想を上方修正した。日系メーカーの自動車生産台数を,国内では前回予想から8万台引き下げて1166万台,海外では16万台引き上げて1278万台と予測。これを前提として,売上高は前年度比9.4%増の3兆9500億円,営業利益は同11.2%増の3370億円,純利益は同11.1%増の2280億円とした。

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