図1 富士経済による画像処理装置の市場予測
図1 富士経済による画像処理装置の市場予測
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図2 分野別の画像処理装置の市場予測
図2 分野別の画像処理装置の市場予測
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 富士経済は2010年までの画像処理装置の市場予測をまとめた。同社の定義する画像処理装置とは,カメラなどの画像を利用してパターン・マッチングで対象物を確認したり,位置を測定したりする装置のことをいう。同市場を6分野に大別する。産業向けの「処理装置」,「産業(FA)用カメラ」,「検査アプリケーション」,民生向けの「セキュリティ」,「車載・ITS」,「医療関連」である。6分野合計の市場規模は,2010年に2006年比29.1%増の7296億円に成長すると予測する(図1,2)。

最も伸びるのは「車載・ITS」分野

 6分野の中で,市場が最も高い伸び率で成長する分野は「車載・ITS」である。2010年に,2006年比88.2%増の399億円と予測する。特に,車両の後方視界を確保するリア・ビュー・カメラや,車両周辺の画像を上方から俯瞰するシステムなどが市場を牽引する。課題は車載カメラの性能で,105℃以上の高温耐性を持ちつつ100dB以上のダイナミック・レンジを実現することや,さらなる低価格化が求められるとする。

 「車載・ITS」市場が今後伸びる地域として,北米と中国を挙げる。北米では,後方視界の確保を法制化する検討が進められており,リア・ビュー・カメラの搭載比率が高まると予想する。中国では,富裕層に向けた高価格の車両の売上増に伴い,車載カメラの搭載比率が高まるとみる。

セキュリティ市場は生体認証技術が牽引か

 「車載・ITS」市場に次いで高い伸び率を見込む分野が,監視カメラなどの「セキュリティ」である。2010年の市場規模は2006年比39.4%増の1651億円と予測する。従来は監視カメラの存在だけで犯罪抑止効果があったことから,画像処理技術を搭載する必要性が低かったという。今後は,監視カメラの画像を利用した生体認証技術の普及が進むとみる。

医療分野は伸び悩み

 このほか,「医療関連」分野では,医療機関の設備投資を抑制する動きなどにより,2010年に2006年比12.6%増の1786億円と伸びは小さいと予測する。今後,医療機関は財政面での二極化が進むと見られ,医療機関のニーズにあった製品だけが売れるとする。

 6分野のうち,残る「処理装置」,「産業(FA)用カメラ」,「検査アプリケーション」分野については,製造ラインにおいて,目視からカメラによる画像で品質を検査する動きに移行し始め,今後も伸びが期待される。特に,自動車組み立て工程におけるボディの外観検査向けの用途が拡大するとみる。これら3分野の合計で,2010年には2006年比29.7%増の3459億円と予測する。

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