図1 ダイハツ工業の出展した「全方位事故回避支援システム」
図1 ダイハツ工業の出展した「全方位事故回避支援システム」
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図2 ディスプレイ上にて,認識した障害物を丸で囲むデモを披露
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 ダイハツ工業は, 2個の赤外線レーザで車両周囲360度の障害物を判別する「全方位事故回避支援システム」を第40回東京モーターショー(一般公開日:2007年10月27日~11月11日)で披露した(Tech-On!関連記事)(図1,2)。一つの赤外線レーザにより水平方向で240度の範囲を検知できる。測定可能な距離は約200mだという。車両上方に設置したカメラで車両と周囲を撮影し,認識した障害物を丸で囲んで表示して見せた(図2)。

 赤外線レーザはドイツIbeo Automobile Sensor社製のもので,車両の前方左と後方右という対角線上の位置に一つずつ,車両内部に設置している。その際,レーザ光を遮らないように,車両の一部を削ってある。ただし,レーザ光が通過可能な黒色の樹脂で外観を覆ってあるため,削った箇所の判別は難しい。

 レーザ発光部と受光部のある光源の真上に反射ミラーを設置する。ミラーは光の進路方向に対して傾けて設置し,このミラーを回転させて240度の範囲にレーザ光を走査する。

 一般的に赤外線レーザは雪や雨などで散乱するため,ミリ波レーダに比べて天候に左右されやすい欠点がある。今回採用したレーザでは,ある一方向に対して,物体に当たって反射したレーザ光を4回受光することで,障害物が「存在しそうな点」を認識する。4回受光することで,雨などによる散乱による影響を軽減する。設定した範囲内で「存在しそうな点」が10個集まると,障害物が「存在する」と認識する。

 同社は「現在,雪の中で物体を認識する実験を始めたばかりだが,ミリ波レーダと今回の赤外線レーザで,性能的に有意な差は今のところ見られない」(同社の説明員)という。

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