トヨタ自動車は,炭素繊維強化プラスチック(CFRP)をボディ骨格に採用するなどして車両重量を「プリウス」の約1/3に抑えたコンセプトカー「1/X」を,「第40回東京モーターショー2007」に出品した(図)。車室内の空間はプリウスと同等という。
CFRPを適用したのは,ボディの基本骨格となるアンダーボディ(床の骨格)とBピラー(前後ドアの間の支柱),およびAピラー(フロントガラスの両脇にある支柱)と同ピラーからリア側へと続くフレームの部分だ。また,アンダーボディ上の,フロントシートの下辺り,フロントライトやリアライトの裏辺りには,断面を波状に成形したCFRPの板を配置している。これは衝突時の安全性を確保するための補強という。
CFRPの採用により骨格を軽くしたことで,エンジンの小排気量化,さらにはパワートレーンの軽量化,細いタイヤの採用などが可能となり,車両重量を大幅に低減することが可能になった。エンジンの排気量は500ccという。車両重量は420kgだ。
もっとも,420kgが軽量化の限界だったわけではない。同社の説明員によれば「もっと軽くできた」。ただ,運転者だけが乗っているときと,最大搭乗人数の4人が乗っているときで,走行安定性や加速性能などが変わらないようにするには,420kgくらいが適切だったとしている。
エンジンはリアシートの下に搭載するが,これはエンジンの小排気量化による恩恵。エンジンが小さいため,通常はデッドスペースとなりがちなリアシートの下にそれを配置しても,乗降性を損なう心配がなかったからという。リアシートの下ならば,トランクスペースを圧迫することもなく,車室内の空間を狭めることもない。