CEOのMark Thorsen氏
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SeeRealの展示会場の様子
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 独SeeReal Technologies S.A.は,ホログラフィで像を再現する立体動画ディスプレイを開発した(Tech-On!関連記事)。現在,テレビ・メーカーとディスプレイ・メーカー合わせて10社前後と技術供与の交渉を進めており,2007~2008年にパートナが決まれば,「2009年中に製品化できる」(同社CEOのMark Thorsen氏)という。40型前後の液晶ディスプレイ・テレビとしての製品化を想定しており,価格は1万~1万5000米ドルになる見通しという。解像度は,40型前後でフルHD(high definition)またはそれ以上にできるとする。

 ホログラフィによる立体視ディスプレイは,目が疲れにくい自然な立体像を得られるものの,これまで二つの問題があった。第1に,画素ピッチを1μm以下ときわめて小さくする必要があること。第2に,像の再生に必要なデータ量がP(1P=1015)Flops級になり,スーパー・コンピュータによる処理が必要になること。今回,SeeReal Technologiesは,視聴者の目の位置をカメラで追跡し,立体像の再生範囲をその目の位置から見える範囲に限定することで,これらの問題を解消した。ディスプレイを透過する光を,サブ・ホログラムと呼ぶ多数分割した領域ごとに変調し,目の位置に合わせて立体像を構成できるようにした。

 この結果,画素ピッチ50μmの液晶ディスプレイでフルHDまたはそれ以上の解像度が得られるほか,像の再生に必要なデータ量が3.5T(1T=1012)flopsに減り,同社が独自設計したASIC(aplication specified integrated circuit)で処理できるようになった。

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