厚さは35mm
厚さは35mm
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従来品との比較(32型)。約100mmから35mmに薄くした
従来品との比較(32型)。約100mmから35mmに薄くした
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背面は上下の排気口を除きフラットな筐体で覆っている
背面は上下の排気口を除きフラットな筐体で覆っている
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 日立製作所は,表示部の厚さが35mmと薄い液晶テレビ「Wooo UTシリーズ」を発売する。まず,32型の1366×768画素品を2007年12月中旬に発売,その後,37型の1920×1080画素品を2008年2月上旬,42型の1920×1080画素品を2008年4月上旬に発売する。同社従来品の厚さは,32型で約100mmだった。

 現行の液晶テレビに対して,「高付加価値品」と位置付けており,価格設定にもそれを反映する。価格はオープンだが,市場想定価格として32型品は23万円前後,37型品は33万円前後,42型品は43万円前後になる見込み。「従来品より5万円以上上乗せした価格だ」(日立製作所)という。

表示部とチューナ部を分離

 薄くできた理由の一つは,表示部とチューナ部を分離したこと(Tech-On!関連記事)。表示部は,パネルに電源回路や必要最低限の回路を組み合わせた,いわば「モニター」である。チューナ回路などは「Woooステーション」として分離し,表示部とHDMIケーブルで接続する。

 オプションで,表示部とチューナ部をワイヤレスに接続できる。別売りのワイヤレス・ユニット(表示部に追加する受信機と,チューナ部に追加する送信機)を購入すれば,映像信号を最大約9mの距離でワイヤレス接続できる(Tech-On!関連記事)。ワイヤレス・ユニットの市場想定価格は9万円前後という。

パネル・モジュールは20mm

 チューナ部を分離しただけでなく,表示部の薄型化に向けて幾つかの工夫を組み合わせた。ポイントは大きく四つある。(1)パネル・モジュール,(2)熱解析,(3)電源,(4)構造設計,である。

 (1)のパネル・モジュールは,厚さを従来比約1/2となる20mmに薄くした。主に,自社開発したバックライトの工夫である。「単にバックライトを薄くするだけだと,蛍光管の管ムラが生じてしまうが,これを新たに開発した拡散板で回避した」(日立製作所)という。

 パネルは,32型と37型についてはIPSアルファテクノロジが生産する「IPSαパネル」を採用した。42型については,IPSアルファテクノロジで生産していないため,「他社のIPS方式のパネルを採用した」(日立製作所)という。ただし,パネル・メーカーは明らかにしなかった。

 (2)の熱解析は,薄くすることで課題となる放熱に関する工夫である。ファンを設けない放熱構造を開発した。表示部の上部と下部に設けた排気口を利用して,熱を下から上に逃がす構造にした。大型サーバなどの開発で培った技術を応用したと説明する。表示部背面は,上下に設けた排気口以外は,フラットな筐体で覆われている。「後ろから見てもキレイ」(日立製作所)な仕上がりになった。

 (3)の電源については,薄型電源回路基板を新たに開発した。厚さを従来比で約1/3となる12.3mmに薄くした。

 (4)の構造設計については,薄型化に伴って弱くなる強度を保つための工夫である。強度解析を実施し,薄型軽量と剛性を両立したと説明する。

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