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 積水化成品工業は、高結晶性ポリ乳酸樹脂(植物由来樹脂)を使い、150℃の加熱寸法安定性を持つポリ乳酸樹脂のビーズ法樹脂発泡体の開発に成功した。ビーズ法樹脂発泡体とは、ビーズ状の発泡樹脂粒子(発泡ビーズ)を型内で発泡成形して得られた樹脂発泡体。自動車部材など輸送機器関連をはじめ、贈答用意匠箱など食品包材関連、積み木など玩具に向く。

 トウモロコシなどの植物から造れるポリ乳酸樹脂は、再生可能資源であり、カーボンニュートラル性であることから、環境負荷の低い材料として注目されており、電子機器の筐体、フィルム、繊維として一部使われ始めている。

 しかし、従来のポリ乳酸樹脂発泡体、特にビーズ法ポリ乳酸樹脂発泡体は60℃を超えると変形するため、ほかのビーズ法樹脂発泡体素材であるEPS(ビーズ法ポリスチレン樹脂発泡体)やEPP(ビーズ法ポリプロピレン樹脂発泡体)に比べ、加熱寸法安定性が劣っており、広く使われるには至っていない。

 ビーズ法ポリ乳酸樹脂発泡体の加熱寸法安定性を高めるためには、ポリ乳酸樹脂の結晶化度を高くする必要がある。しかし、結晶化度が高くなると耐熱性が高くなるため成形加工が困難になる。従来の製造プロセスでは、加熱寸法安定性に優れたビーズ法ポリ乳酸樹脂の発泡体を得ることが困難とされていた。

 同社が開発したビーズ法ポリ乳酸樹脂発泡体は、従来のビーズ法ポリ乳酸樹脂発泡体の加熱寸法安定性を大きく上回り、150℃でも寸法がほとんど変化しない。この加熱時の寸法安定性は従来のビーズ法ポリ乳酸樹脂発泡体だけでなく、EPSやEPPよりも優れている。

 また、加熱寸法安定性に加え、ポリ乳酸樹脂が本来持っている環境適性、機械的強度、耐溶剤性、耐候性についても、ビーズ法ポリ乳酸樹脂発泡体の優れた特性としてそのまま保持している。

 今後、現在のパイロットプラント(生産能力120t/年)を使って、市場評価、テスト販売し、市場開発を進める。さらに市場開発の状況を見ながら新規プラント(600/年)の導入を検討していく。