米University of Californiaの研究者は米国時間の2007年10月17日,カーボン・ナノチューブ(CNT)を用いた,AM(振幅変調)で変調した電波の復号回路を開発したと論文で発表した。CNTでラジオの受信回路を構成した例は過去にもあるが,「実際に電波を受信してラジオとして機能したのはこれが初めて」(今回の研究者)と主張する。復号回路の寸法は「人間の髪の太さの数千分の1」(同)。他の回路もCNTで開発中で,実現すれば無線の受信回路がCNTで非常に小さく作れるようになるという。

 受信システム全体の構成は,この復号回路と一般のアンテナ,差動プリアンプ,スピーカーなどからなる。電源は単4形の乾電池1個。この受信システムが実際に振幅変調した電波を受信し,スピーカーから音楽が鳴る様子も公開した(実演の様子)。

 この回路を開発したのは,University of California, Department of Electrical Engineering and Computer Scienceの研究者,Chris Rutherglen氏とPeter Burke氏。CNTの非線形なI-V特性を,RF信号の整流に利用して実現したという。