iSuppli社が推定するiPodの80Gバイト機の部品コスト
iSuppli社が推定するiPodの80Gバイト機の部品コスト
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 米iSuppli Corp.は,米Apple, Inc.が2007年9月に発売した携帯型メディア・プレーヤー「iPod classic」のコスト分析の結果を発表した(発表資料)。それによると,iSuppli社が推定する部品コストは80Gバイト機で127米ドル,160Gバイト機で190米ドル。一方,米国における販売価格は80Gバイト機が249米ドルで,160Gバイト機が349米ドルである。販売価格に占める部品コストの割合は,それぞれ51.0%と54.4%となる。なお,このコストは製品を構成する部品や材料に限られており,製造コストやマーケティング費用,ソフトウエア,知的財産権,付属品や包装費用は含まれていない。

 コストの内訳を見るとHDDが最も高額で,80Gバイト機で78米ドル,160Gバイト機で140米ドルと推定する。80Gバイト機と160Gバイト機のコストの唯一の違いはHDDとiSuppli社はいう。このほか,ディスプレイは11.9米ドル,コア・プロセサは8.6米ドル,DRAMは5.8米ドルである。iSuppli社によれば,iPod classicに使われている部品は既存のiPodのフラッグシップ機と数点の違いはあるものの,基本的に同じものという。

 Apple社はこれまでiPod製品群の多くにNANDフラッシュ・メモリを採用しており,1年間で50~60%も低下するNANDフラッシュ・メモリの価格下落を利用して,iPod製品群の製品コストを維持・低減してきた。また,製品価格については,記憶装置の容量を毎年前年の2倍にすることで維持してきた。今回Apple社が新たな機能を追加せずにHDDを搭載するiPodを発売したのは,同社がタッチ・スクリーンを用いたHDD搭載のiPodを2007年の年末商戦までに開発できなかったための「間に合わせ手段かもしれない」とiSuppli社は推測する。

2007年のiPod classicの出荷台数は310万台

 iSuppli社は,2007年のiPod classicの出荷台数を310万台と予測する。ただし,その後の出荷台数の伸びは減速し,2008年の出荷台数は対前年比12.9%増の350万台にとどまると見る。対照的に,「iPod nano」と「iPod touch」の合計出荷台数は大きな伸びが期待でき,2007年に2600万台,2008年に対前年比52%増の4000万台に達する見通しという。