図1 家庭内に設置する制御機。有線LANを介してスピーカーに音声信号を送信したり,無線でリモコンに情報を送信したりする
図1 家庭内に設置する制御機。有線LANを介してスピーカーに音声信号を送信したり,無線でリモコンに情報を送信したりする
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図2 緊急時にリモコンを押すことで,あらかじめ登録したメール・アドレス先にメッセージを送信できる
図2 緊急時にリモコンを押すことで,あらかじめ登録したメール・アドレス先にメッセージを送信できる
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 三洋電機と三洋ホームズは,気象庁の緊急地震速報を活用した家庭向け地震情報配信システム「EQvoice」を2007年9月22日から販売することを発表した。インターネットを経由して緊急地震速報を家庭内の制御機で受信すると,スピーカーから地震発生までの時間や震度の情報を発信すると同時に,照明を点灯する。スピーカーや照明は,有線LANを介して家庭内の制御機と接続される(図1)。同時に,制御機から持ち運び可能なリモコンに信号が送信され,リモコンのLEDが点滅する(図2)。このリモコンのボタンを押すと,事前に設定した家族などの携帯電話機のメール・アドレス先に,メッセージを送信できる。

 家庭内に地震情報を配信するのは,地震情報配信サービスを手掛けるトータル・ライフサービスコミュニティが担う。まずは気象庁が発信した緊急地震速報をサーバーで受信し,配信先の住所を考慮しながら震度や到達時間を予想する。1秒以内で配信できるようアルゴリズムを工夫したという。次に,インターネット経由で家庭内の制御機に地震情報を送信する。ここで,インターネット回線の混雑による通信の遅延は保証しない。制御機では,スピーカーで出力する音声信号に変換したり,無線でリモコンに情報を送信したりする。ユーザーがリモコンのボタンを押すと,押したという情報が制御機を介してサーバーに送信され,事前に登録してある携帯電話機などにサーバーからメールを配信する。

 今回のシステムは,三洋ホームズが販売する全戸に標準装備する。今年度の販売目標戸数は1000戸である。既存の住宅に導入する際の価格は,制御機1個,スピーカー2個,リモコン1個で15万円程度を予定している。照明はオプションで10万円程度という。加えて,サーバーの利用料として,月額1500円かかる。

 三洋電機と三洋ホームズは2005年4月から今回のシステムの実証試験に着手しており,2007年5月には2700人規模の防災訓練を実施していた。この訓練の結果を踏まえて,スピーカーからの発信内容を,まずは地震が到達するまでの予想到達時間,続いて震度情報という順番に決めた。ただし,予想到達時間が14秒以下になると,まずは震度情報,続いて予想到達時間の順番に変更する。「到達時間が短い場合は,震度を先に伝えた方が行動しやすい」(三洋ホームズの説明員)という。

 今後は,地震情報を制御機が受信するとシャッターやブラインドを開けたり,電子錠を解錠したりすることを検討しているという。