写真1:「ルンバ530」の発表会に登場した,女優の岡田美里さん(左)とセールス・オンデマンド 代表取締役社長の木幡民夫氏。岡田さんは旧機種のユーザーだという。
写真1:「ルンバ530」の発表会に登場した,女優の岡田美里さん(左)とセールス・オンデマンド 代表取締役社長の木幡民夫氏。岡田さんは旧機種のユーザーだという。
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 セールス・オンデマンド(本社・東京)は,自動掃除ロボット「ルンバ」の新製品「ルンバ500シリーズ」を2007年10月1日から日本で販売する。同ロボットは掃除の際に,壁や家具に軽くぶつかってしまうことがあるが,今回の新シリーズではぶつかる前に減速したり,床の上のコードなどを巻き込みにくくなったのが特徴。米iRobot Corp.が開発・製造したものを,セールス・オンデマンドが日本で代理販売する。

 ルンバは直径34cm,高さ約9cmの円盤型の掃除機。床に置いてスイッチを押すだけで,自動で床を動き回って部屋を掃除する。本体に「壁センサ」や「段差センサ」「ゴミ・センサ」など数十個のセンサを搭載し,掃除する部屋の大きさや形状,床の状態,汚れ具合などに関する情報を集めながら動作する。その情報をもとに,「AWARE」と呼ぶソフトウエアが,どの場所をどのくらいの時間掃除するかなどを決定する。

 セールス・オンデマンドは,2004年にルンバ(旧モデル)の販売を始め,現時点(2007年9月)で約4万台を日本国内で販売している。ただし,旧モデルの問題点として「壁や家具にルンバがぶつかるときの音が気になる」(同社 営業企画部 マネージャー 佐々木千恵氏)などの指摘をユーザーから受けていたという。

壁にぶつかる前に減速

 ルンバは従来のモデルから,壁センサと呼ばれる,本体側面(進行方向に向かって左右)と壁などとの距離を測るための赤外線センサを装備していた。しかしこれは,壁との距離を適切に保ちながらうまく壁に沿って移動し,効率的に壁際の掃除をするためのものだった。進行方向にはセンサを備えておらず,軽くぶつかるまで前方に壁などの障害物があることは分からなかった。

 これに対して今回のルンバ500シリーズでは,新たに前方にも赤外線センサを追加した。これにより,進行方向にある壁や障害物も感知できるようになった。壁などが近づくと本体の移動速度を遅くし,従来よりもやわらかく接触するようになった。

 さらに,電源コードなどを吸い込んでしまった場合も,ブラシを回転させるモータにかかる負荷を感知し,ブラシを逆回転させて吐き出してから掃除を続けられるようになった。旧モデルではコードなどを吸い込んだ場合,ルンバがその場で自動停止する仕様になっていた。

複数の部屋を順番に掃除する機能も

 そのほか,上位機種「ルンバ570」には「お部屋ナビ」という装置が付属する。これは,旧モデルに付属していた「バーチャルウォール」を改良したもの。

 バーチャルウォールは,床の上で水平方向に赤外線を出す装置。ルンバは,この赤外線で作られた仮想的な「壁」を感知し,それを超えて移動しない仕様になっている。2つの部屋のうち1つだけを掃除したい場合や,広い部屋の一部分だけを掃除したい場合などに,ルンバの動く範囲を限定できる。

 お部屋ナビは,バーチャルウォールと同様に,部屋と部屋の間などに置いて赤外線による壁を作る。バーチャルウォールと異なる点は,2.4GHzのデジタル無線機能を搭載し,ルンバと通信を行なえることだ。ルンバが一つの部屋(もしくは部屋の一部分など)の掃除を完了すると,お部屋ナビに対してそれを伝える信号を送る。すると,お部屋ナビは赤外線によって作られた壁を,ルンバが通過可能なものに変化させる。そして,ルンバがその壁を通過すると,再び通過不可能な壁に変化させる。これによりルンバは,複数の部屋を順番に掃除することが可能になる。一度掃除が終わった部分に入り込まないようになるなど,より効率的に掃除ができるようになるという。

 ルンバ500シリーズは,百貨店や家電量販店,セールス・オンデマンドが管理するWebサイト「アイロボットストア」などで販売する。アイロボットストアでの販売価格は,「ルンバ530」が7万9800円(税込み),上位機種の「ルンバ570」が9万4500円(同)となっている。

写真2:カーペットを掃除する「ルンバ530」
写真2:カーペットを掃除する「ルンバ530」
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写真3:上位機種の「ルンバ570」
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写真4:「ルンバ570」に付属する「お部屋ナビ」(左)と,「ルンバ530」に付属する「バーチャルウォール」(右)
写真4:「ルンバ570」に付属する「お部屋ナビ」(左)と,「ルンバ530」に付属する「バーチャルウォール」(右)
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