左からApple社,Design DirectorのSarah Brody氏,SAP社,Design StrategistのMike Tschudy氏,Cisco社,Director, User-Centered DesignのCordell Razlaff氏,frog社,General Manager West CoastのMichael Meyer氏
左からApple社,Design DirectorのSarah Brody氏,SAP社,Design StrategistのMike Tschudy氏,Cisco社,Director, User-Centered DesignのCordell Razlaff氏,frog社,General Manager West CoastのMichael Meyer氏
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 ドイツ-米国間のビジネスを推進する非営利団体German American Business Associationは,2007年9月11日にイベントを開催。米Apple Inc.や米Cisco Systems, Inc.,デザイン企業米frog design inc.,ドイツSAP Aktiengesellschaft社の担当者が,最近の技術関連企業におけるデザインについて語った。

 「自社の製品を差異化するには,優れているユーザー体験を与えるのが有力な手法である」(Cisco社,Director, User-Centered DesignのCordell Razlaff氏)などと,デザインが以前より重要になっていることについて,参加者全員が同意した。こうしたデザインによる差異化に関して,Apple社,Design DirectorのSarah Brody氏は同社のデザイン戦略は「建物の建築すると似ている」と説明した。「我々はまず,1階の間取り図から設計する。しかし,そこからはシンプリシティ(簡便さ)を実現するため,ユーザーが本当に必要だと思うモノに限して構築していく」(同氏)。

 Brody氏は,一例としてiPhoneを取り上げた。iPhoneのデザインでは,ハードウエアとソフトウエアのバランスを考慮する必要があったという。「ハードウエアは実体があるので,デザインは比較的簡単。人間が部屋の中を家具などを触りながら歩き回ると,その部屋の構造を覚えられるように。しかし,ソフトウエアは空間と時間を考える必要があるので,製品の機能をどの順番に紹介すべきなのか,検討のプロセスが難しい」(同氏)。

 iPhoneの開発では,ハードウエアのキーパッドを搭載するか否かで議論があったという。「結局,できるだけ大型のスクリーン内でソフトウエア的にキーパッドを搭載することを決めた。優れた体験を実現したので,ユーザーはハードウエア的な感覚を失うことに不満を覚えないと思う」(Brody氏)。

 frog社,General Manager West CoastのMichael Meyer氏はこのように最先端の技術を扱う製品にデザインの危険性があることも指摘する。「一昔前の製品はデザインが良くなくても,ユーザーが製品を触りながら何とか操作方法を体得することができた。タッチスクリーンの中に操作系の機能を入れ込むと,現実と無関係の素晴らしいことができる反面,ユーザーの混乱を招く恐れがある」(同氏)。

 Cisco社のRazlaff氏は,デザインが販売に与える影響を示す例として,以前に販売したDisneyブランドの家電製品を取り上げた。「製品の同じ内容でも,Disneyのデザインやブランドを加えると,製品の価格を高く設定できる。例えば,通常79米ドルで販売されるテレビでも,ミッキーマウスの耳を付けると99米ドルで売れる」(同氏)。

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