古河電気工業は,子会社の正電社が所有する変圧器2台が盗難に遭ったと発表した。変圧器の絶縁油には有害物質のPCB(ポリ塩化ビニフェル)が含まれているという。

 盗まれた変圧器は,変電所の更新工事が完了して使わなくなったもの。正電社はこれら変圧器を廃棄するにあたり,絶縁油の分析調査を行う目的で2007年5月から岡島電工社に預けていた。調査の結果,PCBの含有量が基準値(0.5ppm)を大きく上回っていることがわかり,特殊な廃棄処理が必要となったため,正電社は保管容器を作成して自社工場に保管することにした。容器が完成し,正電社が岡島電工社に引き取りの連絡をしたところ,2007年8月17日,変圧器が紛失していることが判明。同20日に岩槻警察署に盗難届を提出したが,まだ発見されていない。

 盗まれたのは,1981年に製造された三菱電機製の変圧器だ。1台は,容量300kVAの三相変圧器で重さは約995kgにもなる。もう1台は50kVAの単相変圧器でこちらは約235kg。三相変圧器は絶縁油240L中に11ppm,単相変圧器は53L中に17ppmのPCBを含んでいるという。

 2台あわせて重さ1トンを超えるものを誰が盗んだのか。古河電工は「変圧器は金属の塊。現在,価格の高騰している鉄や銅を大量に含んでいる。いわゆる金属泥棒ではないか」(同社広報)とみている。