オランダNXP Semiconductors社は,携帯電話機に向け,USBバス・パワー駆動のデジタル・オーディオ・ヘッドセット用1チップ・トランシーバ・ソリューション「Nexperia PNX0161」を発売した(発表資料)。プログラマブルSoCを中核としたデジタル・メディア機器向けプラットフォーム「Nexperia」に追加するもの。USB 2.0 High-Speedに準拠する。USB接続によるオーディオ・ストリーミング,電池充電を含む組み込み電源管理,パソコンとのデータ同期,USBホストあるいはUSB On-The-Go(OTG)デバイスにおけるプラグ&プレイ,FMラジオにも対応するステレオ再生/録音などの機能をそろえた。

 Nexperia PNX0161は,DSPソフトウエアを搭載する。イコライザのプリセットやエコー・キャンセラの最大化など,音質向上のためのカスタマイズが可能。CPUコアには「ARM7TDMI」を採用した。USBバスを通して給電するDC-DCコンバータを内蔵している。USBバス・パワー駆動で音声再生時,最大10mAと消費電力が低い。ホスト・システムからの雑音を抑える工夫も施している。

 パッケージは,7mm角の88端子TFBGA。プログラム格納メモリとして,書き換えが可能なフラッシュ・メモリを採用したものの他に,コストを節約できるROM採用品も用意している。互換性を持たせており,製造ラインを立ち上げた後も円滑に置き換えられるとした。

 同社では,携帯機器のローカル・インタフェースはUSBへ淘汰されていくと見ており,2011年までにUSB 2.0 High-Speed準拠の製品は年平均24.4%で成長,27億個が出回ると見込んでいる。今回の製品を携帯電話機のほか,民生機器,パソコン周辺機器などに訴求し,優勢なシェアを確保していく考え。

 なお,USB 2.0を適用した携帯機器の台頭を睨みつつ,これと同時に,USB 2.0をインタフェースとしたGSM携帯電話機/MP3オーディオ・プレーヤー用ドッキング・ステーションのリファレンス設計において,携帯電話機やMP3プレーヤーの充電,FMラジオをスピーカーやBluetooth機器に接続可能にするなどの機能拡充も図っている。このリファレンス設計はパソコンのスピーカー兼用で,ノート・パソコンやパソコンのモニタ,あるいは携帯電話機に組み込むもの。2個前後のICから成り,実装面積は5mm角。ARM7コアと,オーディオ・ストリーミングおよびマイク機能に対応するUSB 2.0コーデック回路とを1チップに収めたSoC「NXP SAA9870」,15W×2(ステレオ)出力のD級アンプ「NXP TDA8932BTW」を使用した。低消費電力と音声性能の良さをうたう。