メーカー別の売上金額
メーカー別の売上金額
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 米iSuppli Corp.は,2007年第2四半期(4~6月)のNANDフラッシュ・メモリの市場調査の結果を発表した(発表資料)。世界全体の売上金額は対前年同期比10.2%増,対直前四半期比14.4%増の30億1200万米ドル。対直前四半期比の成長率は21%を記録した2005年第4四半期以降で,最も高かったという。第2四半期のNANDフラッシュ・メモリ市場は,売上金額が落ち込んだ第1四半期から一転して好調に推移した。メーカーが生産量の増加ペースを鈍化させたため,第2四半期のNANDフラッシュ・メモリの供給は逼迫し,平均販売価格の上昇を招いた。

 メーカー別の売上金額を見ると,首位は韓国Samsung Electronics Co., Ltd.。対前年同期比9.3%増,対直前四半期比18.9%増の13億8200万米ドルを売り上げ,45.9%のシェアを占めた。直前期からシェアを1.8ポイント拡大している。iSuppli社によれば,第2四半期のSamsung Electronics社の好調は,米Apple Inc.の「iPhone」や「iPod」シリーズ向けを含む民生機器向け製品の販売拡大により,ビット換算の出荷量が増加したためという。

 2位は東芝で,対前年同期比23.0%増,対直前四半期比2.4%増の8億2800万米ドルを出荷した。シェアは27.5%。第2四半期は56nm世代プロセスへの初期移行段階のため,ビット換算による出荷量が2%増にとどまったが,歩留まり向上が期待できる第3四半期には30%以上増加すると予測する。3位は,韓国Hynix Semiconductor Inc.。売上金額は対前年同期比12.9%減,対直前四半期比17.6%増の4億4000万米ドル,シェアは14.6%だった。

Samsung Electronics社工場の稼働中断が価格上昇要因に

 iSuppli社は,メーカーの生産増強を受けて,NANDフラッシュ・メモリの平均販売価格が,8月初旬以降上昇を止めると予測していた。しかし,市場全体が供給過剰に傾きかけた8月初旬,Samsung Electronics社のNANDフラッシュ・メモリ工場が停電により稼働中断となったことが供給を減少させ(Tech-On!の関連記事),平均販売価格の上昇につながったという。Samsung Electronics社は,今回の停電によるウエハー生産量の損失を大きくないとしているが,iSuppli社は今回の損失をSamsung Electronics社の1カ月のウエハー生産量の約10%,第3四半期の世界全体のNANDフラッシュ・メモリの生産量の約1%と推定している。今回の工場の稼働中断によって,NANDフラッシュ・メモリの供給の逼迫は8月末まで続くと見る。これを受けてiSuppli社は,前年と同水準と予想していた2007年の売上金額を,対前年比10~15%の増加と上方修正した。

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