米Broadcom Corp.は2007年8月7日,同社が米QUALCOMM Inc.と争っていた特許侵害訴訟において,米国カリフォルニア州サンディエゴの連邦裁判所が「QUALCOMM社は訴訟手続きにおける不正行為や,H.264の標準化団体に対する意図的な不正行為を行った」との判断を下したと発表した(発表資料)。

 今回の判断は,映像符号化方式「H.264」に関して,QUALCOMM社と争っていた特許侵害訴訟に関するもの。同裁判所によれば,QUALCOMM社はH.264規格の策定中から,H.264の規格標準化団体JVT(Joint Video Team)に参加していたが,その際同社が保有するH.264規格に関わる特許2件を意図的に隠していたという。問題となった特許の米国特許番号は「5,452,104」と「5,576,767」。

 その後QUALCOMM社は,この2件の特許を侵害しているとして,2005年10月にBroadcom社を提訴した。この訴訟に関しては,陪審が2007年1月に「Broadcom社はQUALCOMM社の特許を侵害していない」と評決した。また,陪審はこの評決と同時に,QUALCOMM社がH.264規格に関する特許を開示しなかったことにより,JVTを誤った方向に導いたことを明らかにするよう法廷に勧告していた。今回のサンディエゴ連邦裁判所の判断はこの勧告を受けてのものである。

 加えて,同裁判所はQUALCOMM社がこの訴訟の手続きに関して組織的な不正行為を行ったと判断した。QUALCOMM社の社員や証人,弁護士などが,組織的な不正を証明する書類に関して虚偽の陳述を繰り返したり,隠蔽を行ったとする。

 同裁判所は,QUALCOMM社が訴えていた特許2件について特許権の行使を認めないとし,QUALCOMM社に対して,今回の訴訟に関するBroadcom社の費用すべてを支払うように命じた。

 QUALCOMM社は今回の判断に対して上訴するとしている(発表資料)。

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