富士キメラ総研は,液晶パネルの世界市場規模が2012年に11兆867億円になる見込みと発表した。2007年4月~6月に関連メーカーへのヒアリングを中心とした市場調査を行い,推計結果を報告したもの。液晶パネルの2006年の市場規模は前年比15.6%増の8兆4874億円と好調で,2008年も10%程度の伸びを示すとみられるが,CRTテレビから液晶テレビへの置き換え需要が一巡するため,2010年以降は成長率が1%台まで低下するという。

 主力のアモルファスSi(a-Si)TFT液晶パネルは,10型以上は台湾と韓国が生産量のそれぞれ40%以上を占めており,2006年の日本での生産量は5.9%にとどまっている。10型未満は逆に日系メーカーが得意とするところで,生産量の50%弱を日本が占めた。メーカー別には,10型以上で強いのが韓国LG.Philips LCD Co., Ltd.,韓国Samsung Electronics Co., Ltd.,台湾AU Optronics Corp.。10型未満ではシャープ,東芝松下ディスプレイテクノロジー,エプソンイメージングデバイスと上位を日本勢が占める。

 PDPの出荷金額も成長率は今後鈍化するものの,2006年~2012年の平均成長率は液晶パネルの4.6%に対して9.9%になると富士キメラ総研は予測する。30型台や40型台で液晶パネルに押されるものの,全サイズの合計では出荷数量は増加傾向にあるとみる。フルHD化が平均単価の下落に歯止めをかけることもあり,2012年の市場規模は2006年の8797億円に対して1兆5529億円との予測だ。

有機ELは年率25%で成長

 有機ELパネルの2006年の市場規模は前年比25.1%増の568億円,出荷枚数は同39.9%増の7265万枚となった。市場の大半をパッシブ・マトリクス型が占めており,2006年は携帯電話機のサブ画面やPMP(携帯型の映像/音楽プレーヤ)向けのパッシブ型を主力とする台湾RiTdisplay Corp.が市場シェア首位を獲得した。カラー品種が振るわなかった韓国Samsung SDI Co.,Ltd.は2位に甘んじている。アクティブ・マトリクス型は,2007年中に発売予定のソニー製テレビなどが市場に受け入れられれば大型パネルの量産が期待できる。パッシブ型は車載機器での採用が進むとみられる。有機ELパネル全体の市場規模は年率24.8%で成長を続け,2012年に2164億円に達する見込みだ。

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